若月の存在によって始まった高卒プロを次々と送り出す育成機関・花咲徳栄
花咲徳栄時代の若月健矢
2015年から5年連続で高卒プロ選手を輩出する花咲徳栄。改めて育成力の高さを実感するが、その流れを作ったのは若月健矢(オリックス)、楠本 泰史(横浜DeNA)の2人ではないだろうか。若月は実直真面目に取り組む選手で、楠本ももちろん意識が高く、強く引っ張るキャプテンシーがあった。
当時から走攻守のセンスが抜群だった楠本とは対照的に若月は花咲徳栄の地元・加須市の出身。入学当初はプロどころの選手ではなかったと岩井隆監督は語っている。
「若月が伸びたのは、2年の秋の大会が終わってからでしたよ。実際、最初は使い物になるのか…、というくらいに(球がバットに)当たらない選手でしたからね」
そこから若月は課題1つ1つ克服していきながら、関東地区を代表する捕手へ成長した。2013年の選抜前に訪れたときの若月は打撃練習ではさく越え連発。ノックでの二塁スローイングは物凄いボールで二塁手、遊撃手のグラブに収まる凄い強肩を見せてくれた。
プロ注目選手へ成長した若月は後輩からも一目を置かれる存在となる。のちにプロ入りした愛斗(高校時代は大瀧愛斗)は若月が目指す選手像となったと振り返る。
「その試合で、若月さんが右中間にホームランを打ったんです。同じ右打ちで、自分も右方向に大きい打球が打てるバッターをずっと目指していたので『若月さんのような選手になりたい』と思いました」
プロに進んだ〇〇先輩のようになりたい。いつしか花咲徳栄はそういうサイクルができていた。2017年ドラフト2位せ埼玉西武に入団した西川愛也の構えを野村佑希(北海道日本ハム)、韮澤雄也(広島)が真似しているのが印象的だった。
若月の存在がいなければ今の花咲徳栄は躍進は始まらなかったといえる。そんな若月は2019年、自己最多の138試合に出場。盗塁阻止率はパ・リーグトップの.371をマーク。選手会長としてチームを引っ張っており、人望もある。27日、声優・立花理香さんとの結婚を発表した。
ぜひ花咲徳栄OBとして活躍を見せ、球界を代表する捕手に成長することを期待したい。
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