「愛媛県選抜、日台親善高校野球試合へ向け始動！」

5分以上にわたって熱く励ましの言葉を贈った中村 時広・愛媛県知事

　きたる12月25日（金）から27日（日）までの3日間、台湾・新莊球場（台北市）で開催される「日台親善高校野球試合（2015MAZDA台日高中棒球交流賽）」へ向け、このほど愛媛県選抜が始動。12月11日（金）には愛媛県庁において中村 時広・愛媛県知事へ挨拶、13日（日）には松山商グラウンドでチーム初練習を行っている。

　11日（金）愛媛県庁内での知事への挨拶では愛媛県選抜チーム団長の岩村 正雄・愛媛県高等学校野球連盟会長が冒頭、以下の概要で遠征の経緯説明と感謝の言葉を述べた。

「今回の遠征は松山商初代監督の近藤 兵太郎氏（戦後に新田・愛媛大でも監督を歴任）が台湾に渡り嘉義農林学校を甲子園初出場で準優勝（1931年夏）に導いた映画（KANO 1931海の向こうの甲子園）が台湾で大ヒットしたことがきっかけです。高野連としても近藤監督のつながりで、ぜひ台湾と野球交流をしていきたいと思っていたところ、県知事からも『ぜひいってこい』と力強い言葉を頂いて実現することになりました。

我々一同、台湾との交流はもちろんのこと、嘉義農林学校が母体となっている嘉義大学を訪問することで、愛媛県と台湾の絆を深めてまいりたいと思います。今回ご尽力してくれた方々のためにも、台湾での最大限の頑張りをお約束します」

　続いて、副団長を務める二神 弘明・愛媛県高等学校野球連盟からは選手20名が紹介され、その代表として愛媛県選抜チーム主将に選ばれた門田 昂也（松山商2年・三塁手・主将）が「今回は国際試親善合の貴重な経験を頂き、本当にありがとうございます。また、近藤 兵太郎先生の想いを受け継ぎ、このような大きな経験ができることをありがたく思います。

台湾では愛媛の野球を展開すると共に台湾野球のよさを学び、自分たちの糧にしたいと思います。そして、『野球王国愛媛』の復活を目指し、『2017年愛顔（えがお）つなぐえひめ国体』につなげられるよう、チーム全員でがんばってまいります。支えてくださる方への感謝を忘れず『球は魂なり』を胸に精一杯戦ってまいります」と力強く意気込みを語った。

　これに対し、中村 時広・愛媛県知事も「年が明ければみんなはライバルにはなるが、年内の台湾遠征では『野球王国』の、それぞれの学校を背負う選手として、いい刺激をし合い、友情を深めて、みんなそれぞれが成長し、愛媛県全体の野球のレベルが上がることにつながることを期待している」など、この種の挨拶では極めて異例とも言える6分3秒の長時間にわたり、派遣団一同へまっすぐ視線を向けたまま激励の言葉を贈った。

　その流れを受け、13日（日）の選抜チーム初練習も明るさと責任感がほどよく入り混じったものとなった。

「KANO」観賞後、早速感想を記す愛媛県選抜の選手たち

　午前中は「KANO 1931海の向こうの甲子園」を全員で観賞し、改めて日本・愛媛県と台湾との深いつながりに想いを馳せた選手たち。午後は重沢監督、岡田コーチ指導の下、シートノック、フリーバッティング、投球練習、紅白戦形式のシートバッティングなどでチーム内競争と同時に山形県選抜、福井県選抜も参加する大会での必勝を期した。

　フリーバッティングではホームラン性の打球も多数飛び出し、投手陣もブルペンで本番さながらの制球力を披露するなど、選手20名がしっかり準備をして臨んでいる様が随所に見えた約3時間半の初練習。主将の門田も「映画を見るのは2回目だが、選抜チームで改めてみて近藤 兵太郎先生が台湾で偉大なことをされたので、自分たちも近藤先生の名に恥じないような行動をとるべき自覚が生まれた。この選抜チームは内野手を中心に守備が堅いので、投手を含めた守備から攻撃につなげる形で勝っていきたい」と19（土）・20（日）も含めた3日間の愛媛県内練習への手ごたえを得た様子だった。

　ただし10月から11月にかけて行われた「第3回黒豹旗全国高中棒球大会」3位までが出場する対戦相手は日本でいえば「高校3年生年代」も入ったメンバー構成。しかも、いずれも好投手を有する強敵ぞろいだ。

　まず優勝した私立高苑高級工商職業学校の183センチ右腕・林 暉盛は最速152キロ・常時140キロ前半のストレートと鋭いスライダーを持つ嘉義出身。現在17歳のため、間違いなく来年の第11回BFA U-18アジア選手権大会で侍ジャパンU-18代表に立ちはだかるであろう逸材。

　また、2位の市立平鎮高級中学の左腕・張 朝盛も最速148キロ・常時140キロ前半のストレートに大きなカーブを投げ分ける第27回WBSC U-18ベースボールワールドカップ・台湾代表選手である。

　さらに3位の私立穀保高級家事商業職業学校ですら、16歳にして180センチを越える長身から常時130キロ中盤のストレートを投げる好右腕・林 鋅杰を有する。今大会は台湾での規定に倣い日本チームも木製バットを使用することから、各打者は様々な部分での対応力を問われることになる。

　また、バッティングもコントロールのよさと力強さを兼ね備えた打者が多く、捕手も軒並み強肩。まともに組み合っても勝利は難しい。まるでプロ野球を思わせる異国のスタジアムであっても、いかに日本・愛媛的な方向性で実力を発揮し、勝利へ最善の策を練ることができるか。

「お互い確認事項を確認した上で最大限の力を出してあげたいので、新田で10年以上やっていたコーチの経験を生かし、先頭を切ってムードを作ってあげたい」岡田 茂雄コーチ（新田監督）と、「先輩たちが作った歴史の重みを再確認しながら、吸収したことを愛媛県に広めていく使命も担って、総動員で意識の高さで凌駕する形で戦いたい」と話す重澤 和史監督(松山商監督）と手を取り合いながら、彼らには国際親善大使の役目と同時に、全国で戦う上で絶好のケーススタディとなる3試合を通じて、真の競争力を醸成することを切に願いたい。

　なお、愛媛県選手団、及び大会の全試合日程は3･4ページの通りとなっている。