【春季四国大会逸材紹介・香川編】高松商に「シン・浅野翔吾」が!尽誠学園は技巧派2年生右腕がチームの命運握る
橋本 琉稀斗(高松商)、西條 蓮(尽誠学園)
4月27日(土)四国4県から全8校が集い、愛媛県松山市の坊っちゃんスタジアムで開幕する「令和6年度(第77回)春季四国地区高等学校野球大会」。ベスト8躍進の阿南光(徳島1位)や広陵(広島)に食い下がった高知(高知2位)といったセンバツ組の他にも各校に好選手が数多くいる注目の大会となりそうだ。
そこで「高校野球ドットコム」では参加8校ぞれぞれの注目選手を1名紹介しつつ、各校の最新情報も採り入れた特集を組むことに。今回は19年ぶり11度目となる春季香川県大会優勝を遂げ、3年連続22度目の大会登場となる名門・高松商と、11年ぶり15度目の出場となる尽誠学園を紹介する。
香川・高松商 浅野翔吾の背番号「8」を継ぐ4番打者
橋本 琉稀斗(3年・中堅手・右投右打・172センチ76キロ・東かがわリトルシニア出身)
右では佐藤 晋平投手(3年)、行梅 直哉投手(2年)、末包 旬希投手(2年)、左では大森 健太郎投手(3年)がいずれも最速140キロを超え、春季大会のチーム防御率0.86と他を圧倒する投手陣を有する高松商。一方で、チーム打率.281とやや苦しんだ中、ポイントゲッターとなるのが準々決勝から4番を張り、尽誠学園との決勝戦で延長10回にサヨナラ安打を放った橋本 琉稀斗外野手(3年)である。
彼の背番号は「8」。遠投100メートルを誇る小柄な右のフルスインガー。といえば周囲は自然と2年前の浅野 翔吾外野手(巨人・22年ドラフト1位)を想起するが、当の本人は「まったく気にしていません」。そんなプレッシャーをもろともせず、4番ですら「居心地がいい」と語る強心臓ぶりと「自分は変化球に対し前に出される癖があるので、呼び込む意識で打席に立った」と、サヨナラ打につなげた冷静さを併せ持つ。
高校通算本塁打7本塁打とまだ長打力には課題が残るものの、春季大会で16打数7安打5打点2盗塁の勢いを坊っちゃんスタジアムでも継続できれば、1978~1980年に3連覇して以来、春の四国王者8度目の獲得も十分視野に入ってくるだろう。
なお、高松商は初期登録で相内 奏投手(1年)、西村 修五内野手(1年)の新入生2名がメンバー入り。特に相内については「ジャイアンツカップでの登板もあるだけあって練習試合でも安定している」と長尾 健司監督も高く評価しており、四国大会で公式戦デビューの期待も大だ。
香川・尽誠学園 チームを救った技巧派2年生右腕
西條 蓮(2年・投手・右投左打・171センチ64キロ・和歌山北ボーイズ出身)
尽誠学園は、昨秋の県大会準々決勝で観音寺総合に1対6で完敗も、チーム打率.283を計18盗塁で補い、つなぐ野球で決勝戦も高松商と好勝負を演じた。ディフェンス面でその屋台骨を支えたのが2年生右腕の西條 蓮投手(2年)である。
ストレートの球速は常時130キロ前半と特筆すべきものはないが、120キロ台でのカットボール、チェンジアップ、110キロ台後半のスライダーの切れ味は抜群。時に「ストレートをより活かすために」100キロを切るカーブも織り交ぜながら、春季香川県大会では全5試合に先発。33回463球を投げ被安打18奪三振28。四死球は18とやや多めながら、失点は延長10回タイブレークとなった決勝戦の3が最多となる計7失点。防御率は1.36と安定度が光った。
県大会では3年生最速140キロ右腕・眞田 侑和投手(3年)のコンディションがなかなか整わない中、まさにチームを救った西條に、「この大会を通じてよく頑張ってくれた」と西村 太監督も賛辞を惜しまない。中6日で迎えることになる四国大会までの疲労回復度は心配な部分ではあるものの、「あくまでここは夏への通過点」と強気の姿勢を貫く漢は、坊っちゃんスタジアムでも11年ぶり4度目の春四国頂点へ向け、タフに闘う覚悟だ。