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【逸材レポート】島村大樹(大宮東)「埼玉を代表する伝統校・大宮東に現れた二刀流」

2019.07.21

 伝統校・大宮東の投打の中心・島村大樹埼玉栄戦では2本の満塁弾を含む3安打8打点の活躍。投げても、6失点の力投を見せ、強敵を破った。そんな島村は182センチ82キロと恵まれた体格から140キロ台の速球を投げ込む本格派右腕として注目されていた。埼玉栄戦の島村は野球選手として素晴らしいパフォーマンスを発揮した。

埼玉栄戦では投打で高いセンスを発揮

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島村大樹(大宮東)

 想像以上に素晴らしい選手だった。140キロを超える速球を投げる本格派右腕という評判だった島村。この夏の島村は打者としても活躍しており、まず1回戦の南稜戦では4回1失点の好リリーフ、2回戦の浦和東戦ではライトでスタメン出場し、本塁打を含む4打数3安打の活躍。そして3回戦の大宮西戦では投げては2回無失点の好リリーフ、打っても決勝点となる打点をあげており、全試合で12打数5安打4打点の活躍、6回1失点。二刀流として活躍を見せていたのだ。

 そして迎えた埼玉栄戦では5番ピッチャーと初めて先発で試合を迎えたのだ。いきなり打者として活躍を見せた。まず1回表、一死満塁のチャンスで打席が回った島村は北村が投げ込んだ外角直球をはじき返し、左中間へ飛び込む先制の満塁本塁打。この一発でまず4点を先制。この一発にスタンドは大盛り上がり。そして第2打席はインコースにつまりながらもレフトオーバーの適時二塁打。そして最も盛り上がったのは5回表だ。満塁のチャンスで打席が回った島村。スタンドはまたも本塁打が出るのではないかとざわざわしはじめる。

 2ストライクに追い込まれたあと、島村はノーステップ打法に切り替えた。そして埼玉栄の左腕・北村が投じた内角直球を左ひじをたたんでボールをとらえ、ライトスタンドへ消える満塁本塁打。なんと1986年に達成した鈴木健(浦和学院~西武~ヤクルト)以来の2人目の快挙となった。

 島村は打撃技術が非常に高い。スクエアスタンスで重心を下げた構えは腰が据わっており、目線の位置がずれることなく、インパクトを迎えることができる。1本目の本塁打は大谷翔平や丸佳浩のような左の強打者を見ているような打ち方だった。2本目も難しいインコースを捌く技術の高さは脅威である。

 また投手としても素晴らしい技術が備わっている。セットポジションから始動し、左足をゆったりと上げていきながら、右足の膝を適度に伸ばしてバランスよく立つことができている。しっかりと胸を張って振り下ろすバランスが取れた投球フォーム。常時135キロ~140キロの速球は球速表示以上に勢いを感じさせ、120キロ台のスライダー、チェンジアップ、100キロ台のカーブの精度は高く、打者の狙いを外す投球ができる。4回裏、ピンチの場面で相手の打者が頭になかったカーブを投げ込んで三振に打ち取ったり、5回裏には5点をとられたが、6回以降、直球、変化球をバランスよく投げ分け、完投ではないが、2番手の澤田がアウト1つ取れずに島村がマウンドに登ったため、27個のアウトを取り、実質の完投勝利で埼玉栄を破った。

 投げる、打つセンスと技術も素晴らしいが、ここぞという場面で勝負強さと精神力の強さを発揮する島村は、野球選手としてワクワクさせてくれるプレーヤーだ。次は上尾との伝統校同士の対決。島村はさらに輝きを放つプレーを見せることができるか。

文=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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