羽田 慎之介選手 (八王子)
短評
こうして威力のあるストレートを投げられるようになったのは八王子入学後からの体づくりにある。東練馬出身の羽田は華奢で、身長187センチ体重71キロと細かった。ただこの1年で体重は80キロ台に達し、身長は191センチと今年に入っても伸び続けている。 さらに変化球も面白い。120キロ台の曲がりが大きいスライダー、120キロ後半のカットボール、120キロ前後のフォーク、110キロ後半のチェンジアップ、100キロ台のカーブと実に多彩。しっかりとリリースできた時は面白いように空振りが奪える。 ストレートだけではなく、変化球も一定以上の精度がある。ここまで書くと、こんな左腕がいるのかと驚くことだろう。ただ課題は制球力である。この試合では6四球とボール先行が多かった。 ただ八王子の安藤監督はそれを咎めようとはしなかった。 「もちろんボールが多くなると、それが通用しない相手に対して、本人になり工夫しないといけないと思います。ただ彼の場合、体がまだ大きくなっている途中で、フォームもまだ固まっていない段階なので、体ができたときにフォームも安定するとみています」 八王子高校の投手といえば、2016年夏の甲子園に出場に貢献した左腕エース・早乙女大輝(明星大)、昨年のエース・北沢壮汰など制球力が優れ、駆け引きが長けた投手が多い。安藤監督は羽田に対し、これまでの左腕エースと同じ要求はしていない。 「投手にはいろいろなタイプがあって、今までの投手は、ボールの威力がないことを制球力、変化球で補っていたと思います。ただ欠点とすれば、ボールの威力がなく、ホームランを打たれやすい。羽田は今までの投手には絶対的なボールの威力があります。コントロールやゲームメイクという点については体ができて、フォームも安定し、力のあるストレートをコントロールよく投げられるようになってから考えればいい話で、逆に球速を落として、コントロールよく投げることはつまらない投手になってしまうのかなと。 これほどのスケールがあって、力のあるボールを投げられる投手は過去にいません。彼だけにしかない特別な個性があるのに、それを潰してはいけないと考えています。今は力のあるストレートを磨いてほしいと思っています」 大型左腕の育成は非常に難しいといわれる。このように先を見据えて、個性を尊重する安藤監督だからこそ羽田は才能を伸ばすことができたのだろう。
更新日時:2020.11.07
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