谷 幸之助選手 (関東一)
短評
東東京屈指の速球派右腕。強靭な上半身の強さを生かし、鋭い腕の振りから常時140キロ台のストレートを投げ込む。そのスピード能力は素晴らしく、同じ腕の振りから繰り出すスライダーの切れ味も悪くない。ただ一本調子で調子の波が激しいのが課題だったが、谷自身、どう修正すればいいかわかっている。 谷は「打たれた日大戦から1週間。修正できるところはすべてやってやってきました」と語ってくれた。本番では見違えるような速球を投げ込んでくれるか楽しみだ。 インタビューから抜粋 11月25日、日大三戦。第2試合で先発した谷は甲子園4強の日大三の3年生たちに自信あるストレートを投げ込んだ。
「打たれて当たり前だと思って投げていたので、楽に投げられたと思います」
常時138キロ~142キロのストレート、120キロ前後の縦横のスライダーを織り交ぜ、日大三打線相手に好投。打者6人に投げて、1奪三振、1失点。この結果に前田監督は「関東一の監督の米澤君が、谷は波がありますよといっていたんですけど、今日は良かったですよ」と内容を評価していた。
波がある。谷はそれを自覚して、安定感を求めてピッチングを追求してきた。左腕を高く突き上げて、真っ向から振り下ろすオーバーハンドは角度ある球威あるストレートを生み出すが、一方でリリースポイントが安定せず、コントロールが不安定になる。谷自身、その欠点は八王子シニア時代から自覚していた。そのための修正方法として心掛けていたのは右腕の使い方だ。
「テークバックの時に右ひじを無駄なくトップに持っていくことです。そうすることで、リリースポイントも安定してボールを前で離せます」
だがなかなかうまくいかない。この秋は大会前に146キロをマークするなど状態の良さは示したが、秋の大会では不安定なピッチングが続き、敗れた国士舘戦では2.1回を投げ、3四球、6安打、3失点を喫し、思うようなピッチングができなかった。
大会後、米澤監督から「チームが強くなるには、お前が変わらないといけない」と言われ、ピッチングの考えを改めた。ずっと悩んでいたフォームの修正については「コロコロ変えるのは辞めて、これだと思ったフォームを貫くことにしました」
余計な雑念を消した。直近の練習試合でも安定した内容を残し、東京代表として、この試合を迎えたのであった。代表入りが決定し、米澤監督からかけられた言葉は
「何かを感じて、チームに帰ってこい」
しっかりと感じて、チームに戻ってこれるか。
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