東妻 純平選手 (智辯和歌山)
短評
試合レポートから抜粋 智辯和歌山の4人のレギュラーが新チームに残っているのも珍しいが、全員がセンターラインというのはめったにない。その中でもこの試合で目立ったのは東妻だ。第2打席で内野安打、第3打席で3ランを放った打撃面ではなく、ここで紹介するのはキャッチャーとしての強肩。 攻守交代の間、投手は3~5球ピッチング練習をする。その最後のボールを受け取った捕手は実戦を想定して二塁ベース上に待機する内野手(主に遊撃手)に送球するが、このときのタイムが「イニング間の捕手の二塁送球タイム」である。 03年以降の16年間、計測してきた私が「強肩」と認識しているタイムは2秒未満。3月28日までの間で2秒切りを達成したのは山瀬慎之助(星稜)、島上眞綾(盛岡大付)、江川侑斗(大分)、東妻の4人で、1.9秒を切ったのは東妻と山瀬の2人だけ。山瀬と東妻の強肩度は同程度と見ていいが、この大会に限れば実戦で二盗を阻止したのは東妻のほうで、そのタイムが凄かった。 2回裏、熊本西は4、5番が連続安打して一、三塁のチャンスを迎え、併殺崩れの間に三塁走者が生還して1点を先制。さらに7番が四球で出塁、次打者の3球目に二盗を企図する。池田陽の投球モーションを盗んだ走者は楽々セーフのタイミングで二塁ベースを陥れたかに見えたが、東妻は捕球してから素早く投球モーションに入り、走り込んでくる走者の方向(捕手から見て右側)に矢のような送球を送ると塁審はアウトを宣告。手元のストップウォッチを見たらこのときの二塁送球タイムが「1.89秒」を表示していた。 センバツの前に行われた社会人野球の全国大会、スポニチ大会では日本新薬の千葉義浩が1.95秒、1.96秒で二盗を企図した走者を刺殺しているが、東妻の二塁送球タイムはそれを0.7秒上回っている。プロでもこれはトップクラスのタイムと言っていい。
更新日時:2019.03.30
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