八木 彬選手 (八戸学院光星)

寸評

　八戸学院光星の中では、最も威力ある速球を投げる投手。敦賀気比戦で最速145キロを計測した。一冬の成長次第では、どの立ち位置まで到達するか、楽しみな存在である。 （投球内容） 　右スリークォーターから投げ込む直球は常時140キロ～145キロを計測。速球の勢いは中々だが、前に飛ばさせないぐらいの勢いは求めているだろう。今年は145キロ～140キロ後半まで速くなると、さらに存在感が出てくるだろう。 　　変化球は、130キロ前後の縦横のスライダーが中心。横のスライダーは打者の手元まで曲る鋭い球筋で、大きな武器になりそうだ。また同じ球速で落ちる縦のスライダーの落差も中々で、空振りが奪える。縦、横の変化は使えているので、あとはチェンジアップ、カーブなどの緩い変化が使えるようになるといいだろう。 　今のところ、外角を中心に投球を組み立てていて、右打者には、内角を使うなど、優位に攻めることができているが、左打者になると踏み込まれて打たれてしまう。左打者にいかに踏み込まれないように投球を工夫できるかがカギとなりそうだ。 　クイックは1.1秒前後と素早いクイックが出来ており、牽制もその都度入れている。ピンチ時は特に気持ちが乱れることはないが、攻め方がやや安易なところが課題。 （投球フォーム） 　ワインドアップから始動する。左足を胸元まで上げていきながら、右足の膝を適度に曲げてバランス良く立つ。左足を遊撃方向へ伸ばしていきながら、重心を下げていきながら、前足に伸ばして着地する。左腕のグラブを斜めに伸ばしていきながら開き抑えようとする。 　テイクバックは内回りの旋回をしていきながら、右ひじはしっかりと上げることができている、トップに入ったときに、本塁方向から見た時に、右腕が見える状態だ。いわゆる開きが早い状態で、左打者からすればそれほど怖くはないと感じるのではないだろうか。そのためコーナーに140キロ中盤を投げても打ち込まれている。 　　コントロール良く投げようと、内旋で腕を振りにいく。腕の振りの軌道自体、悪くはないが、もう少しテイクバックからリリースに入るまで脱力して、加速時に今より腕の振りを速くして、打者目線、今より打ち難いと思わせるフォームに改良していくと、より速く見せることが出来るのではないだろうか。

将来の可能性

　同学年の呉屋、中川に比べると一番で、今年、八戸学院光星の試合を見る機会があれば、最も成長ぶりを確認したい1人。甲子園で活躍した秋田 教良、金沢 湧紀（ともに三菱重工広島）に負けない潜在能力を持った投手で、2人の2年生時より勢いのあるボールを投げることが出来ている。 　この春、ストレートの勢い、投球術含めて、すべてにおいて成長を見せているか注目をしていきたい。