木部 拓実選手 (帝京)
寸評
昨年から140キロ台のストレートを投げ込むと評判でしたが、中々観に行っても見ることができなかった投手です。しかし最後の夏は、監督の信頼も得て先発の一角として活躍。力強いストレートと多彩な変化球を駆使し、相手を翻弄します。 (第一印象) 恵まれた体格から140キロ台のストレートを投げ込んできますが、けして力で相手をねじ伏せようとはしません。多彩な球種の一つとしてストレートを位置づけ、丁寧に投球をしようという意志が感じられます。そのため、ストレートに強いこだわりがある投手ではないなという印象を受けました。 (投球内容) 右の本格派といった感じで、コンスタントに140キロ前後~MAX145キロまで到達します。変化球は、スライダー・カーブ・チェンジアップ・フォークなど多彩で、相手に的を絞らせません。細かいコントロールはありませんが、両サイドに適度に散らし、けして四死球で自滅するような粗さはありません。程よいまとまりと力強さを兼ね備えた、バランスの取れた投手です。 <長所> グラブは最後まで体の近くに抱えられ、足の甲でも地面を押し付けることができています。「球持ち」も悪くないですし、制球が乱れないのも頷けるフォームです。 お尻も比較的一塁側に落とせるので、無理なくカーブやフォークなどの球種も投げられます。腕の振りにも無理はありませんし、故障の可能性が少ないフォームと言えそうです。 振り下ろした腕は体に絡んで来るように、速球と変化球との腕の振りの違いが難しいフォームです。けして荒れ荒れの投手ではなく、投球フォームも理に適った実戦的な技術の持ち主だと言えるでしょう。 <課題> ボールに上手く体重が乗せてきれていないので、打者の手元まで生きた球が行きません。これだけの体格、球速を持ちながら、あまりボールに威圧感を感じないのは、この体重移動に課題があるからだと言えそうです。
更新日時:2012.07.24
将来の可能性
まだボールに訴えかけて来るような凄みはありませんが、球速・変化球・コントロールと適度なバランスを保っています。これに更に速球の凄みなどがついて来ると、ゆくゆくはプロという可能性は充分秘めています。大学や社会人に進んで、さらなる成長を遂げれば大きく化けるかもしれませんね。今後も、期待を持って見守りたい一人でした。
更新日時:2012.07.24
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