田村 龍弘選手 (光星学院)

寸評

光星学院に楽しみなプレーヤーが現れた。田村龍弘。昨秋の東北大会準決勝で三打席連続本塁打を放ち、一躍注目を浴びる存在になった。ぜひ選抜でチェックを入れたいと逸材だと思っていた。2試合彼のプレーを見てきて、長打力よりも彼の感性の鋭さ、頭の良さに惹かれた。むしろ彼は「長打力」よりも見てほしい部分ではないかと個人的には思った。 （打撃） どっしりとした構えから手元まで引き込んで打つ選手。腰回りの太さ、スイングの鋭さをみると本塁打を連発してもおかしくない。 スタンスはスクエアスタンス。グリップを高めに置いて構える。どっしりと構える姿は雰囲気を感じさせ、とても身長が171センチとは思えないぐらい大きく見える。投手の足が着地する寸前に始動を仕掛けていくスタイル。ぎりぎりまで引き付けて打つ。トップの動きを見ていくと　体が突っ込まずにボールを待つことが出来ており、軸足をぐっと前に出して鋭くバットスイングしていく。この選手は3打席連続3本塁打を成し遂げた事で長打力ばかりが注目されるが、実に賢い打撃ができる選手。水城戦の第1打席では得点圏からスライダーを逆らわずにセンター前に打ち返すセンター前タイムリー、大差となってもスライダーをセンター前に打ち返す打撃。当て打ちではなく、しっかりと自分のポイントでスイングができており、高校生としては高度な打撃を実践している。課題としてはインコースの捌き。インコースの捌きが甘いところがあるので、しっかりと懐を空けて打ち返すか、右ひじの畳みができるようになりたい。彼のインタビューを聞く限り自分のチェックポイントはしっかりと持っているので、修正は図れる男だろう。頭でっかちにならずに考えたことが具現化できる体力。そして思い切りの良さを身につけていきたい。 （守備） 打球に対する反応は良く、動き自体は普通。ただステップがまだ余分な動きが多く、この動作は素早くしていく必要がある。地肩の強さはサードとしては十分。ただ171センチの小柄であることを考えるとセカンドを守れるようになるといいだろう。 塁間タイムは4.5秒前後。左打者に換算すると4.2秒前後で突出した走力は持っていない。もう少し走塁に対する意欲が高まると評価は高まる。

将来の可能性

三打席本塁打によって長打力がクローズアップされているが、タイプとして勝負強さを売りにした中距離打者。読みの鋭さで相手投手を打ち崩していく選手と思える。高校二年生にしては高いレベルに到達している選手ではあるが、まだ打撃、守備、走塁面の課題を残しており、少しずつ克服していくことが必要だ。姿勢自体はしっかりしている選手なので大きく伸び悩むことなく成長が期待できそう。再び甲子園に戻った時は多くの観客を唸らせるパフォーマンスが出来る選手になることを大いに期待している。