臼田 哲也選手 (東海大相模)

寸評

　圧倒的破壊力を誇る、東海大相模を象徴するような超攻撃型２番打者。従来の２番打者の固定観念を完全に破壊する、この破天荒な男を取り上げてみたい。 （打撃内容） 　選抜優勝までの５試合、臼田の打率は５割にのぼった。内角の球を上手く捌いたり、低めの球に食らいついてフェアゾーンに落としたりと言う上手さ以上に、ほとんどの打球をセンターからレフト方向に引っ張る強引なまでの打撃でも、結果を残す強打者ぶりが目についた。従来の送って小技でとか、右方向へ進塁打と言うイメージを完全に払拭し、打って打って打ちまくって、次の打者につなげる新時代の２番打者。ただ相手投手を揺さぶったりと、そういった二番打者らしい、イヤラシイプレーも疎かにはしていない。 　前足を軽く引いて構え、早めに始動して来るアベレージヒッター。足を大きく引き上げてまわし込んで来るタイプで、足を上げてから降ろすまでの「間」を持っている。この「間」こそが、打撃の幅を広げ様々なボールに対応できる打撃を可能にする。真っ直ぐ踏み込むことで、内角でも外角の球でも捌きたいと言う、彼の幅広い打撃の意識が感じられる。踏み込んだ足下は、インパクトの際にブレないので、開きも我慢でき打ち損じの少ない打撃を実現。 　あらかじめ打撃の準備段階であるトップの位置にグリップを置いておき、そこから振り下ろして来ると言うシンプルなもの。しかしそこには、最後までしっかり振り切ると言う姿勢を忘れない。頭のブレも小さく、体の開きも我慢できるが、多少軸足が前に突っ込む傾向にはある。ただこれは、体勢を崩してでもボールを拾いに行ける、彼らしい打撃でもあるのだ。ボールに食らいつく姿勢にも貪欲さを感じるし、技術もしっかりしている。上のレベルでもやって行ける、確かなものがそこにはある。 （守備・走塁面） 　あまりにも文句なしの打球ばかりで、一塁までの塁間を計る機会も与えない。秋の新チーム結成以来の４３試合で、実に３２盗塁を決める脚力。隙あらばどんどん次の塁を狙う貪欲さを感じさせる。この脚力は、上のレベルでも彼の武器として活躍して行けるだろう。 　中堅手としても広い守備範囲を誇り、打球への反応、ボールへの回り込み、キャッチングなどにも問題は感じられない。ただ一つ気になるのは、あまり肩が強くない点。そのため中継の内野手に素早く返球することに心がける。そういった部分でのアピールに欠けるところが、高校からプロに入る時のマイナスポイントにはなりかねない。

将来の可能性

　　気になる点は、打球のほとんどがセンターからレフト方向へと偏っていること。もう一つは、地肩の物足りなさにある。この辺が、高校からプロに指名されると言う部分では、引っかかる材料。上のレベルを意識するのであれば、やはり右方向への打撃を、もう少し磨く必要があるのではないのだろうか。 　ただやみくもにバットを振っているのではなく、確かな技術に裏打ちされた上での打撃。更に次ぎの塁への意欲、ボールに食らいつく姿勢などを考えると、スカウトや球団によっては、高く評価する向きはあるかもしれない。右方向への打撃も可能なのか？そんな疑問に応えてくれるのかがどうかが、一つ夏への大きなポイントではないのだろうか。更にその可能性を、示してくれることを期待してやまない。これまで期待に応えてきた男、それが　臼田 哲也　だ。