渡辺 勝選手 (東海大相模)

寸評

１年秋から東海大相模の核弾頭を務めるアベレージヒッター。夏では大当たりを見せた打棒は秋になっても勢いは衰えることなく、ヒットを量産した。振ればヒット。彼のバットは打ち出の小槌のようなものである。これほど思い通りの打撃が出来ているのは高い打撃技術があるから。高いレベルに対しても崩せない打撃センスの良さは上のレベルでも勝負できるからだろう。 そして走れて、守れる選手。12試合で9盗塁を記録し、守ってはセンターの臼田哲也とともに鉄壁の守備を見せる。選抜では屈指のアベレージヒッターに成り得るであろう渡辺勝を取り上げたい。 (打撃) 今大会屈指のアベレージヒッター。昨年の選手権では右、左に広角へ打ち分け、抜群のバットコントロールを見せた渡辺勝。この彼のバットコントロールを支えているのは何か探ってみたい。 スタンスはスクエアスタンス。捕手寄りに立ち予めグリップを引いてやや縮こまって構えている。無駄な力は抜けており、良い構えといえる。投手の足が降りたところから始動を仕掛けていき、足を高く上げて真っ直ぐ踏み出していく。トップは深くとっていき、振り出していく。グリップが中に入りすぎることはなく、肘の畳み方がうまいので、インパクトまで最短距離でとらえる事が出来ている。また目線の位置もずれないし、軸足を綺麗に回転して打つことができており、打撃の形はかなり良い。 アウトコース、インコースにも対応ができており、上からしっかり叩くスイングができているので、必然と鋭い打球を飛ばすことができており、打ち上げることも少なくない。最近は左方向へ流せるようになり、打ち分ける幅も広がっている。変化球も柔軟に対応し、綺麗に弾き返すことができており、欠点が少ない。唯一の欠点は頭が動く癖があってミスショットしてしまうことか。本人もしっかりと自覚しており、常にチェックポイントを置いてスイングしているように感じる。そのため大崩れせずに打撃が出来ている。 (守備・走塁) 打球に対する反応は良く、一歩目が速い。守備範囲も広い。地肩の強さは高校生としては強く、シートノックから低い返球を見せている。 塁間タイムは4.00秒~4.20秒前後を計測しており、中々の脚力の高さ。盗塁能力も高く、昨秋は10試合に出場して、9盗塁。積極果敢に走る選手であり、まさに突破口を切り開くことができる選手。走塁も非常に上手く、無駄が無い。

将来の可能性

持ち前のバットコントロールは抜群で、欠点は少なく、非常に良い好打者だ。アベレージヒッターという観点で見れば、海部大斗(履正社)と双璧ではないだろうか。守備、走塁の技術も高く、高校生としては完成された選手である。小柄なため、ここからどう肉付けをして、力強さを増すことがプロ入りへの鍵になりそうだ。