萩原 英之選手 (九州学院)

寸評

　昨夏甲子園でも活躍し、全国的にもその名を轟かせた　萩原 英之　。腰がグッと沈みアゴを引いた構えからは、高い集中力が窺い知れる。ただ選抜では、２試合でヒットを打てずに終わった。そこでもう一度彼のプレーを見直すことで、その答えを探ってみたい。 （打撃内容） 　１年生ながら４番に座り・フォロースルーを活かしてボールを遠くに運べる長打力を秘めていた。引っ張る打撃だけでなく、左方向にも打ち返すことができ、広角に打てる中距離打者。その非凡な打撃だけでなく、野球への意識も高い将来楽しみな強打者だと言えよう。 　スクエアスタンスで、バットを立てて構えます。投手の重心が沈んで来る段階で動き出す、早めの始動を採用。昨夏よりも、より早めに動き出すことで、対応力を重視したスタイルに変わってきました。足を引き上げ、ベース側にインステップして踏み込んできます。踏み込んだ足下ブレないなど、上半身と下半身のバランスの取れた好い形が作れています。 　問題は上半身です。あらかじめ捕手側にグリップを引いて、トップを作るのは遅くありません。ただその時にグリップが、身体の奥にまで入り込んでしまっているので、どうしてもバットの振りだしが遅れます。更に振りだしの角度も少し遠回りで、ボールを捉えるまでにロスがあります。このトップの位置とスイング軌道を修正することが、今後の課題ではないのでしょうか。 　しっかり最後まで振り切れておりますし、頭のブレ・身体の開き・軸足の安定感などはよく、振り終わったあともバランスを崩さない軸の安定感は非凡です。昨年よりも、フォロースルーを活かさなくなったり、少しこじんまりしてしまったなと言う物足りなさは感じますが、これが４番の重責のなか結果を求めた中で彼が辿りついた結論なのでしょう。今は、トップの位置とスイング軌道を修正することから始めたいところです。 （守備・走塁面） 　残念ながら、一塁までのタイムは計測できず。ただ秋からの１８試合で、盗塁は僅か２個。足を売りにするタイプではないことが、このことからもわかります。守備位置も、昨夏は一塁だったのが、選抜では三塁手に変わっておりました。動き自体はいいですし、地肩もまずまずの強さがあります。三塁手をやれるだけのポテンシャルは秘めているようなので、あとは安定感を望みたいところです。

将来の可能性

　スーパー１年生として、鳴り物入りで活躍した夏。しかし新チームからは、真の４番打者と言う重責を担い、まだもがき苦しんでいる段階であるように感じました。持っている素質、野球への意識には好いものを持っているので、あとは方向性を間違わないこと。そうすれば、最終学年では、プロからも注目される存在になれそうです。壁を乗り越えて行く逞しさを、ぜひ確認して行けたらと思います。