平沼 翔太選手 (敦賀気比)
寸評
最近は2年生から脚光を浴びた投手が多い。松井裕樹、高橋 光成、安楽 智大など彼らと比べると最もアスリート気質を感じる選手だ。 如何にも身体能力の高さを感じさせる身のこなしの良さ、躍動感を感じる投球フォーム。さらには多彩な変化球、コンビネーションと、完成度の高い投球術。間違いなく2015年度の高校野球を代表する右腕になるだろう。野手としての才能も素晴らしく、特にバットコントロールは素晴らしいが、投手としての完成度、ストレートの角度の良さを見ると、現状は投手として推していきたいと思う。 (投球内容) ストレート 144キロ 常時135キロ~140キロ ツーシーム 130キロ後半 スライダー 120キロ前後 フォーク 125キロ前後 カーブ 110キロ前後 チェンジアップ 110キロ前後 ストレートは常時135キロ~140キロを計測。力を入れれば、140キロ台のストレートを計測するが、オフの体力強化、筋力強化までで、140キロ前半の速球を7割~8割ぐらいの力で投げられるようにして、マックスの力で145キロ~150キロ前後まで速くなると、高校生ではなかなか打てないのではないだろうか。。 また普通のストレートではなく、右打者の内角には、130キロ後半のツーシームを投げており、変化を付けることが出来ている。 変化球はスライダー、フォーク、カーブ、チェンジアップと球種は多彩。いずれもストライクを入れられる精度の高さがあり、また右打者、左打者 ともに両サイドに入れられるのが強みである。それは平沼自身、両サイドに変化球を投げ分けようと取り組んできたようだ。その結果、高校生にしてはかなり高度な攻めが出来ていた。 また打者の動き、構える位置などを見ながら、弱点を察知する野球脳が優れた投手。もう少しピンチのところで、繊細な投球が出来れば、さらに失点を防ぐことが出来る投手だろう。 (配球) 右打者には両サイドに、速球、変化球を投げ分け、攻めが偏らず、相手が内角に意識があるところに、外角にズバッとストレートを投げて、見逃し三振を奪うなど。ストレート中心の投球かと思えば、変化球中心の攻めをして打ち取るなど、投球に対する攻めは非常に広い。 左打者には、内にはスライダーとスライダーを両サイドに投げ分けられ、打者の手元で沈むチェンジアップ、フォークと意図的に投げ分けられるのが良い。 クイックは1.25秒~1.30秒と特別速いわけではない。現状としてしっかりとボールを投げることを意識をしていて、あまり速くないと考える。 (投球フォーム) これほど上下動が激しいフォームながら、しっかりとコントロール出来るところ。 ワインドアップから始動する。左足を頭の近くまで上げていきながら、右足の膝を曲げて立つ。これほど高く上げながらも、バランスを保つことができている。 左足を二塁方向へ送り込んでいきながら、重心を下げていきながら着地する。左腕のグラブを高々と掲げていきながら、左肩のグラブがほどけるのはやや早く、左肩を下げてから投球動作に入る。 テイクバックは内回りの旋回をしていきながら、トップ時にはしっかりと肘を上げることができている。リリースでは打者寄りでリリースすることができており、球持ち自体は良い。最後のフィニッシュでは左ひざにしっかりと体重が乗って、軸足の蹴り上げもしっかりと行われ、終えることが出来ており、始動からフィニッシュまで躍動感のある投球フォームである。
更新日時:2015.01.03
将来の可能性
これほどダイナミックなフォームながら、メカニズム的なところはしっかりと押さえることができて、投球内容を見ると、高校生としては高度な攻めが出来ていて、2015年度のドラフト候補と注目すべきものは十分に感じられるだろう。ただかなりエネルギーを消耗する投球フォームなので、激戦を終えた甲子園後では、相当疲労が溜まっていて、身体のキレも落ちていたのだろう。本来の投球ではなかった。今の時期が落ち着いてトレーニングに励める期間だろう。 そのため成長が感じられるのが、センバツ以降になるかもしれない。求めれるハードが非常に高くなるが、焦らず自分の投球を心掛け、徐々に状態を高めていければ良いと考える。
更新日時:2015.01.03