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卒業生
松井 裕樹

松井 裕樹(桐光学園)

都道府県:
高校:
学年:
2014 年卒
ポジション:
投手
投打:
左/左
身長:
174 cm
体重:
74 kg
データ最終更新日:2013年9月27日

寸評

 去年の夏、日本中を巻き込んだ松井 裕樹が最終学年を迎えた。去年の夏の投球を見て、すぐに高卒プロに行くべきという評価をしたが、その思いはより強くした。1年たって松井はさらに凄みが増していたのだ。甲子園には出場できなかったとはいえ、松井はしっかりと進化していたのである。
(投球内容)

 ストレートは昨年の時点で最速146キロ。今年は常時140キロ~145キロをコンスタントに計測するようになり、最速149キロをマークするまでとなっている。スピードだけではなく、ミットを突き飛ばすぐらいの迫力あるストレートは大学生、社会人の左腕と比較してもそれを上回るストレートである。コントロールはやや逆球があったとはいえ、バラツキは少なくなってきている。高校生ならば空振りが奪えるほどのストレートであると思うが、横浜戦では各打者に当てられていた。松井対策したとはいえ、松井の140キロ後半の速球にしっかりと食らいつく横浜は凄い。

 変化球は130キロ台の縦スライダー、120キロ台のスライダー、120キロ台のチェンジアップ、130キロ台のツーシームを投げ分けていた。必殺の縦スライダーに加えて、変化球の球種を加え、なおかつ実戦で使えるようになったのは彼の努力の賜物だろう。縦スライダーだけに頼らず投球の幅を広げてきた。


(配球)
・右打者の攻めは大きく改善
基本的に右打者には内角へ厳しくストレートを投げ分けて、テンポ良くカウントを取りながら、縦に落ちるスライダーで空振り三振を狙ったり、インコースの直球を詰まらせて内野ゴロ、三振。横浜戦では見られなかったが、外角にチェンジアップ、ツーシームを投げて空振り三振など。投球の幅が大きく広げていた。

・左打者はインコースの制球力に課題

 左打者は外角ストレートをギリギリへ投げ分け、追い込むと縦スライダーで三振を狙うが、横浜戦を見ると外角に偏りがあり、インコースの攻めが少ない。インコースへの誘い球が少ないから横浜の打者は踏み込むことができた。松井は140キロ後半の速球、縦へ鋭く落ちるスライダーも投げられる左腕でありながら、横浜の左打者がベースを覆い被るように構え、インコースへ投げさせないようにしていたのだろう。ただこの戦法、プロの打者も間違いなくやるので、左投げの松井の場合、逆クロスになり、威力は半減してしまう。インコースの使い方はプロ入りしても大きな課題であるということは間違いない。

(クイック・牽制・フィールディング)

 彼がプロ入りして走者を釘付けするには巧みな牽制をしていくか。走られても投げることに専念を置いて打ち取れる投手を目指すべきだろう。というのもクイックが1.6秒~1.7秒前後。プロの選手の盗塁タイムは平均で3.3秒。遅い選手でも3.5秒ぐらいだ。まず3.5秒のランナーを刺すには捕手が1.9秒台のストライクスローをしない限り刺せない。それぐらい彼のクイックはリスクがある。クイックについてはすぐには直らないと思うので、ここは1年ごとに縮めていけばいいと思う。

(投球フォーム)

 ノーワインドアップから始動、左足を引いて、反動を使って右足を高々と上げる。その足上げがだいぶゆったりするようになった。ゆったりとした入りだが、着地してからリリースに入るまでのスピードが速いので、フォームで緩急を付ける狙いだろう。ただでさえ打者からすれば出所が見づらいフォームなので、始動の部分で緩を意識した狙いは悪くない。

 足上げは頭上の近くまで上げながらも、適度に膝を曲げてバランス良く立つことができており、その後の滑らかな体重移動につながっていく。右足を二塁方向へ送り込んでいきながら、重心を下げていき、右膝を伸ばして着地する。この時、昨年まで重心移動が三塁側より傾くことが多かったが、真っ直ぐにホームへ踏み出すことができるようになったのは去年からの成長点だろう。

 右腕を大きく使って、開きを抑えていく、恐らく腕を振るためだろうか。右腕のグラブの抱えが甘い。そのため暴れる力を制御できず、コントロールが乱れやすい。その点はあまり変わりない。

 左腕を振り下げる、振り下げて、テークバックに入るまでの回旋が非常に速い。テークバックは大きく取っていくが、腰を回転する時はしっかりと肘を上げることが出来ていて、スムーズに腕が振れている。このように角度良く振り下ろすと肩、肘への負担がかかりやすいのだが、彼の場合、しっかりと肘を上げることができており、負担が少ない。彼の投げやすい位置で投げられていて、リリースポイントも把握しているようなので、それでいいだろう。

 胸郭を上手く使って、上体で鋭く振り下ろす動きはしっかりとできている。胸の張りのだが、撮影するとこれほど胸が張れる選手は見たことがない。そこから頭の後ろから真っ向から振り下ろす。簡単に打てるものではない。

 最後の体重移動では、松井は強く踏み込みため、うまく歩幅が合わないと膝が突っ張りバランスを崩しやすい。相洋戦では体重移動が上手くいかず、バランスを崩すことがあった。その点だけ気を付けてほしい。

将来の可能性

 昨年より進化した姿を見せてくれた松井裕樹。ドラフト1位クラスの投球にふさわしい投球を見せてくれたに違いない。今年の左腕で、彼ほどの投球ができる投手は大学・社会人を含めてもいない。ここからは彼が高卒プロ入りしたとして話を進めていく。

 彼をどういう投手に育てていくかというと球団の方針によって異なると思う。先発として育てていく球団がほとんどだと思うが、常に全力投球のスタイルを生かし、中継ぎ・抑えとして育てていくのも有りだと思う。というのも彼はしっかりとギアの入れ替えができて、全力投球で力むことなく、三振が取れる投球を出来ている投手。中継ぎはともかくとして、抑えならば先発に比べて苦手なクイックを先発ほど意識する必要もない。将来の抑え投手として育てていく球団もあるかもしれない。

 1年目から一軍登板の可能性も考えられるが、彼が常時1年間活躍出来るのは3年目ぐらいになるのではないだろうか。大学へ進むより即プロに進んでいったほうが、生涯成績を残せると考えている。

 高校1年から見てきてここまで右肩上がりに成長を見せてきた選手は中々いない。それはしっかりと目的意識を持って積み重ねてきたからだ。多大なプレッシャーの中、彼は自分を崩さずにストイックな姿勢で技量を伸ばしてきたのだ。桐光学園のエースとして彼がどれだけ責任感を持ってやってきたか。人間として成長し、あどけなさが残った去年と比べ、表情も落ち着き、精悍な顔つきになっていた。

 松井には自信のある武器で、プロ野球界に挑戦していってほしい。プロの舞台で彼の投球が見られることを待ち望んでいる。

情報提供・文:2013.08.02  河嶋 宗一

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