選手名鑑

寸評
中日1位の石川昂弥(東邦)の評価が日増しに上がっている。想像を超える成長を見せている。石川に対して辛口気味だった解説者も絶賛モードだ。確かに時期ごとに進化を遂げている。公式戦7本塁打を放った昨秋の打撃フォームと比べても明らかに進化を遂げている。
昨秋から1年間の変化を振り返っていきたい。
(打撃)
おととしの秋になるが、7本塁打を放っていても、あまり良い打ち方とはいえなかった。その理由が軸足をうまく回転できず、いわゆる手打ちのような打ち方になっていたのだ。それでも並外れたパワーがあるので金属バットでも打球を飛ばすことはできていたが、木製バットでは苦しいと思っていた。
実際に木製バットを使った2年冬の愛知県選抜では重心移動がうまくできず手打ち気味の打球になっており、そして選抜後に行われた高校日本代表の研修合宿では、木製バットを使った紅白戦が行われたが、同じく重心移動が上手くいかず手打ち気味のフォームで力のない打球が続いた。
このままではポテンシャルや甲子園での実績を評価され高い指名をされてもしばらく木製バットの対応に時間はかかる選手に見えた。
しかし、U-18代表に選ばれ手からの石川はだいぶ変わっていた。ステップはすり足気味なのは変わらないが、以前よりも踏み出してから軸足の回転がスムーズになり、「手打ち感」がだいぶ良くなり、スイングの軌道を見ると右ひじをしっかり畳んで楕円形のスイングになりつつあった。
巨人のスカウトからも木製バットに対応できている評価もあったが、2年秋~3年春とは別人のような打撃をしていた。
そしてプロ入り後、石川の打撃練習を見ると、すり足気味だった高校時代のステップと比べると少しだけ足を上げるようになり、しっかりとターンして、そして内回りのスイング軌道でボールをとらえ、規格外の打球を飛ばしている。ぎこちなさがあった高校時代と比べるとスムーズかつ力強さを感じる打撃フォームとなっており、辛口だったプロの評論家が絶賛するのもうなづける。
(守備・走塁)
守備の動きを見ると俊敏さはあり、さらに投手として140キロ台の速球を投げるだけあって強肩。しかし細かな動作で粗さがあり、じっくりと鍛えこむ必要がある。1年間、鍛えこんでいけば、名手と呼ばれる可能性を持った動きはしている。
走塁もずば抜けて速い選手ではないが、高校時代も走れると思えば、簡単に盗塁をしてしまう勘の良さがあった。ただ打つだけではなく、守備でも、走塁でも魅了できる能力は備わっている。
将来の可能性
30本を打てるスラッガーとして期待されているが、過去に20本以上放っている高卒スラッガーと比較しても、十分にそれを満たす可能性を持っており、後はプロ入り後の取り組みでどれだけその確率を高めるだけだった。ここまで解説陣、首脳陣を驚かせる成長を見せているのは、本人が「開幕一軍」を本気で目指すという志の強さがつながっているのではないだろうか。
石川昂弥を期待通りのスラッガーへ成長させることができれば、2020年~2030年代の中日ドラゴンズは非常にわくわくしたものになることは間違いない。
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