試合レポート

浦和学院vs上尾

2021.09.27

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Aシード・浦和学院、接戦を制し5年ぶり秋の関東へ!

浦和学院vs上尾 | 高校野球ドットコム
宮城(浦和学院)

 小雨舞う中、県営大宮球場で行われた準決勝の第一試合はAシード・浦和学院vs公立の雄・上尾との一戦である。

 まずスタメンだが、上尾は不動のスタメン、一方の浦和学院も前の試合とほぼ同じだが、9番を江口英寿(1年)から喜屋武夢咲(1年)に代える。

 先発は浦和学院がエース左腕・宮城誇南(2年)、一方の上尾は左腕の倉持輝喜(2年)と共に連投となる両者が登板し試合が始まる。

 試合は初回から浦和学院上尾に襲い掛かる。

 浦和学院は初回、上尾・倉持の立ち上がりを攻め立て、先頭の八谷晟歩(2年)がセンター前ヒットを放ち出塁すると、続く大内碧真(2年)もライト前ヒットを放ち無死一、三塁とする。さらに相手バッテリーミスで一塁走者・大内は二塁へと進み無死二、三塁とすると、3番・金田優太(2年)がレフト前タイムリーを放ちまず2点、さらに続く伊丹一博(2年)も死球で出塁し無死一、二塁と再度チャンスを広げる。ここで5番・高山維月(2年)もセンター前タイムリーを放つなど、浦和学院が早くも3点差をつけ上尾・倉持をマウンドから引きずり降ろす。

 初回で一気に試合を決めにかかる浦和学院は、なお、無死一、二塁で2番手・右サイドの川口翔太朗(2年)の代わり端を攻め、続く藤野航(2年)は送りバントを狙うが、藤野は決められず凡退する。一死をもらい、気が楽になった川口に対し、後続も凡退した浦和学院は、3点を先制したが試合を初回で決めるチャンスを逸し初回の攻撃を終える。

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金丸ソロ本塁打(上尾)

 上尾の反撃は4回表であった。

 この回先頭の金丸健司(2年)が左中間へ二塁打を放ち出塁すると、続く駿河咲希也(1年)もレフト前ヒットを放ち無死一、三塁とする。一死後、6番・野口大翔(2年)がスクイズを決め1点を返す。

 一方、浦和学院もその裏、この回先頭の鍋倉和弘(2年)が四球を選び出塁すると、続く宮城の犠打が相手の失策を誘発し無死一、三塁とする。ここで9番・喜屋武がきっちりと犠飛を放ったかに思われたが、三塁走者・鍋倉は還れない。それでも続く八谷が四球を選び一死満塁とチャンスを広げるが、後続が倒れ無得点に終わる。

 その後上尾・川口が立ち直り、5回以降は強打の浦和学院打線を1安打に抑える投球を披露する。

 2点差のまま迎えた8回表試合が再び動く。

 上尾は一死から3番・金丸がレフトスタンドへソロ本塁打を放ち1点差とすると、続く駿河もセンター前へポトリと落ちるヒットを放ち出塁する。二死後6番・野口がサードへの内野安打で出塁し二死一、二塁とするが後続が倒れ万事休す。

 投げては浦和学院のエース宮城が被安打10と毎回のように走者を許しながらも、要所を締める投球を見せ2失点完投勝利を飾る。

 浦和学院が3対2と1点差で上尾を下し関東大会出場を決めた。

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浦和学院が決勝進出

 まずは上尾だが、この日は総じて上尾のペースであった。初回のピンチを3点で凌ぐと、その後はAシード・浦和学院に対し、ヒット数でも上回るなど互角以上の展開であった。それを引き出したのは、1回途中から好リリーフした川口であろう。動くボールを武器に、浦和学院打線を2安打無失点に抑える好投を披露した。欲を言えば川口・先発で行かなかった点だが、倉持のこれまでの成長を見ると致し方ない部分もある。とにかく、あと一本が出なかった。この点は高野監督も昨秋のリプレーのようなコメントとなったが、

「宮城君に対しては取りに来るボールを確実に捉える形で10本は打ちましたが、長打が出るか出ないかが大きくて、今日1本出ましたが、もう少し全体で外野の間を抜くような打球を打てるように体を作ってバットを振らせたい」

と、来春での更なる成長を誓った。勝てば40年ぶりの秋の関東であっただけに悔やまれる敗戦となったが、今大会の充実ぶりは今後に向け明るい材料となる。

 一方の浦和学院にとって、この日は試練の日となった。

「勝つのって大変だなと。前の試合からずっと左投手の対策をしてきて、右サイドの左打者に対する外に逃げていくようなボールを経験できていない。それにしても、川口君は良い投手でした。宮城は手に当たった影響もありましたけど、本人が投げられますということだったので。宮城は完投できるようにならないと、この先、上のレベルで通用しないので、甲子園から戻って来てとにかく投げさせました。終盤球威が落ちなかったところを見ても、今日は成果が出たのかな」(森監督)

 打線は初回に3点を先制も、その後犠打の失敗や、4回にも無死一、三塁からライトフライで本塁へ還れず流れを失い、自らの首を絞める展開にしてしまった。それでも凌ぎ切れるのはエース宮城の存在であろう。夏以降、約1,000球の投げ込みを行い、フォームを固め、頭の突っ込みや体の開きなどの修正ポイントを潰し、連投にも耐えられるスタミナを手にしたことは大きい。最後は元々有している投手力で勝ち切った。テーマに挙げていた打線は、この日不発に終わるなど反省材料は残るが、これで関東大会出場を決めた。今後は10月の1か月間でテーマとなっている「打力強化」ができるかがセンバツ出場への鍵となる。

(取材=南 英博

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川口(上尾)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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