試合レポート

明豊vs一関学院

2022.08.13

明豊 2番手野村の「緩緩」投球光る 一関学院打線の流れ断ち切る

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第104回 全国高等学校野球選手権大会

<第104回全国高校野球選手権大会:明豊7-5一関学院>◇12日◇2回戦◇甲子園

 試合が始まって注目したのは一関学院(岩手)各打者のバッティングフォームの良さだ。

 私がバッティングで基準にするのはタイミングの取り方。相手投手の緩急(直球に変化球を交えた投球)に対応するにはステップする前足をすぐ出さないこと。つまり、ゆっくり(あるいはゆったり)した動きでステップを出せるかどうかが私の場合は重要になる。

 簡単なことのように思えるが、今大会でもできている選手は少ない。ゆったりした動きでタイミングを取れば直球系の球に差し込まれる恐れがある。バッターはそれが怖いのである。

 1回裏に登場した1番・原田 大和内野手(2年)、2番・千田 白琥外野手(3年)、3番・小杉 晟内野手(3年)、4番・後藤 叶翔捕手(3年)のバッティングフォームは同一ではないが、始動をゆっくり開始し、ステップする前足を慎重に出す動きが4人に共通していた。小杉が直球を内野安打、後藤が直球を左前に弾き返してまず先取点を取り、2回には6番小松 大樹内野手(3年)が直球を右前、8番小野 涼介投手(2年)がやはり直球を中前に弾き返し、一、三塁のチャンスを作り、9番打者の内野ゴロで2点目(ちなみに打ったのはスライダー)、千田が135キロの直球を中前に弾き返し、早くも3点を先取した。

 この段階で私は一関学院の勝利を確信したが、明豊(大分)の2番手、野村 颯太投手(3年)の小杉に対する攻め方を見て唸ってしまった。初球からフォークボール、スライダー、スライダー、フォークボールという配球だったのだ。

 3回裏もこの変化球主体の配球は変わらない。先頭打者、後藤に投じた4球中、3球が変化球で、5番小野 唯斗外野手(2年)には3球のうち直球は1球だけ、6番小松には4球すべてがスライダーとフォークボールだった。

 これでは「緩急」ではなく「緩緩」である。この攻め方を境に一関学院打線のバットから快音が聞かれなくなり、反対に明豊打線が生き生きとしてくるのである。

 4回表、一関学院の先発、アンダースローの小野が内野のエラーなどが絡んで1点を失ったところで降板するのだが、正直もっと投げさせてもよかったと思う。球数は55球でまだ余裕があったし、この投手は一言で言えば〝異才″である。思い切って腕を振って緩い直球を投げ、球に速さがないから相手打者にぶつける怖さがない。つまり思い切って内角を突ける。3.2回を投げ被安打2、奪三振0、与四球3、与死球2は安定感十分な内容とは言えないが、明豊打線が打ちにくそうにしていたのも事実である。正直、投げる姿をもう少し見ていたかった。

 明豊打線では5番の嶽下 桃之介外野手(3年)の俊足に魅了された。7回表、内野ゴロで4対4にした直後、走者がまだ三塁に残った場面で打席に立ち、左翼線に二塁打を放って逆転するのだが、このときの二塁到達タイムが7.88秒という一級品の速さだった。4回と9回には四球で得点に絡み、チームになくてはならない選手になっている。

(記事=小関 順二

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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