仙台育英vs柴田

　＜第104回全国高校野球選手権宮城大会：仙台育英6－4柴田＞◇8日◇1回戦◇仙台市民

　8時前頃まで降っていた小雨もあがり、プレーボールの9時には青空が広がった仙台市民球場。この球場で行われる宮城大会は、仙台育英と柴田がぶつかる好カードで幕を開けた。両校とも昨年のセンバツに出場した実力校。高校野球ファンの関心も高く、平日にも関わらずスタンドは大勢の観客で埋め尽くされた。

　両校とも背番号1、10は左投手。左腕対決になるかと思われたが、仙台育英は速球派右腕の高橋煌稀(2年)、柴田はアンダースロー右腕の池田翔(3年)と、いずれも「背番号11の右投手」が先発のマウンドを託された。

　初回は両先発がスコアボードに0を刻んだ。仙台育英の先発・高橋はいきなり2死二塁と得点圏に走者を背負うも、昨年のセンバツで2安打2打点と活躍した菅野結生(3年)を一ゴロに打ち取る。柴田の先発・池田は1死から安打を浴びたが、3番・秋元響(3年)を遊撃へのライナーゲッツーに仕留めた。

　先に相手先発を攻略したのは、仙台育英だった。2回、四球と安打で無死一、二塁の好機をつくると、打席には6番・遠藤太胡(3年)。昨年のセンバツで3試合全てでスタメン出場し、準々決勝の天理（奈良）戦では達孝太(現・日本ハム)から2安打を放った逸材だ。犠打の構えを見せるも、フルカウントからの6球目を振り抜いた打球は中前へ。これが先制の適時打となった。この後さらに1点を奪い、柴田は3回からエース日下裕翔（3年）に投入した。

　柴田の反撃は4回。連打で1死二、三塁の好機をつくると、7番・小野珀兎(2年)が左中間への2点適時二塁打を放ち同点に。適時打を浴びた直後、仙台育英もエースの古川翼(3年)にスイッチした。

　その後は古川、日下の両エースによる投げ合いが続いたが、仙台育英打線が底力を発揮する。6回、尾形樹人(2年)、遠藤の連続適時打で2点を勝ち越すと、7、8回にも1点ずつを加え、リードを広げた。

　このまま仙台育英が逃げ切るかと思われた9回、柴田の猛追が始まる。先頭打者・千葉陸(3年)がこの日3安打目となる左前打を放ち出塁すると、続く6番・佐藤裕也(3年)の適時三塁打、代打・石田登志(3年)の犠飛で2点差とする。しかし最後は古川が踏ん張り、反撃はここまでだった。

　一昨年の秋季東北大会決勝では、仙台育英相手に1-18と大敗を喫した柴田。強敵を相手に、この日は9安打4得点、無失策と互角の戦いを演じ、試合後は両校にスタンドから大きな拍手が送られた。仙台育英は柴田ナインの思いも背負い、優勝への歩みを進める。

（取材＝川浪 康太郎）