大成vs清林館
少ないチャンスを生かした大成、好継投で完封し清林館に夏の雪辱
大成・石川翔悟君
この両校は、今年の夏季大会でも4回戦で対戦している。その時は、雨の中で接戦となったが清林館が3対2と1点リードした6回降雨コールドゲームとなっている。清林館は次のベスト8を目指す戦いでは準優勝した愛産大工に敗れたものの、ここまで進出したことは一つの実績として自信になったと言っていいであろう。
清林館は津島裁縫女子を母体として学校法人平山学園の津島女子商から津島女子となり、2000(平成13)年に現校名となり2年後から共学となっている。
一方、大成は稲沢女子(現愛知啓成)から分離するような形で1988(昭和63)年に創立された。学校法人愛知真和学園が設立され今日に至っている。柔道部は男女とも全国的強豪で強化指定部となっている。野球部はサッカー部とともに準強化指定部として活動している。山岡大祐監督は、愛知啓成から異動する形で、一時は休部となっていた大成野球部を再建して尾張地区では誉、愛知啓成、愛知黎明に並ぶ強豪校に作り上げた。こうした経緯を見ると、いわば尾張地区の新鋭校対決と言ってもいいであろうか。
清林館は背番号10の松本君、大成は背番号9の石川君が先発した。清林館の伊藤英世監督は2回途中と早いタイミングで松本君を下げて安達君に繋いだ。
そして3回、大成は安達君を攻める。この回先頭の2番・石川君が左前打すると、続く鵜飼君のバントは安打となる。4番・矢代君のところで山岡監督は敢えて代打・岩田敢太君を送り出して「是が非でも送る」と、きっちりバントで二、三塁とする。5番・寺岡君は倒れたものの、続く岩田柚都君の一打は失策を招いて2者が帰る。結果的にはバントで送ったことが功を奏した形となった。大成は、さらに足立君も中前へタイムリー打を放ちこの回3点が入った。
この3点が、回を追うごとに清林館にとっては、ことのほか重くなっていく。大成の山岡監督は5回からは、球に威力のあるエースナンバーをつけた内田君を投入。
内田君は代わり端こそ安打されたものの、その後は8回までは危なげなかった。
9回には、勝ちを意識してか、ちょっと安易にストライクを取りに行き川部君、小嶋君に安打を許し、四球もあってこの試合で初めて三塁へ進める。この満塁のピンチだったが、内田君が投げ勝って後藤君を中飛に仕留めて大成は継投での完封勝ちとなった。
「完封は、出来過ぎですね」と山岡監督は言っていたが、「展開としてはイメージ通りでした、打てないチームですから、少ないチャンスをどう生かしていくかということになりますから、3回は勝負ということで4番に代打で送らせました。きっちり送ってくれたことが次へつながった」と喜んだ。さらには、「8回の追加点は大きかった。公式戦初先発となった石川もよく投げて、内田に繋いでくれた」と、選手たちのここぞというところの踏ん張りを評価していた。
(取材=手束 仁)