試合レポート

乙訓vs立命館宇治

2019.05.13

鳥羽出身指揮官対決は先輩率いる乙訓に軍配

乙訓vs立命館宇治 | 高校野球ドットコム
5回に勝ち越し弾を放った福井裕太(乙訓)

【熱戦の模様をギャラリーでチェック!】

 乙訓の市川靖久監督と立命館宇治の里井祥吾監督は京都鳥羽高校時代の先輩後輩関係にあたる。2000年には3年生の市川監督が主将で中堅手、2年生の里井監督が一塁手として春夏連続で甲子園に出場。春にはベスト4の成績を収めている。

 「一緒に野球をやっていたので、相手の考えていることもわかるし、向こうもウチの考えていることもわかっている」(市川監督)と互いに手の内を知る指揮官の対決は白熱した試合となった。

 乙訓は1回表、連打と犠打で一死二、三塁とすると、4番・中村志遠(3年)の右前適時打で1点を先制。さらに続く一、三塁のチャンスで5番・藤岡大智(3年)が中犠飛を放ち、初回から幸先良く2点を先制した。

 対する立命館宇治も序盤から乙訓先発の林翔大(2年)を攻める。1回裏に先頭の中村滉成(3年)が中越え二塁打で出塁すると、四球と犠打で一死二、三塁のチャンスを作る。ここで4番・浅野彰久(2年)が中犠飛を放ち、まずは1点を返した。

 続く2回裏には二死満塁から2番・今野優斗(3年)の左前適時打で同点。3回裏には二死二塁から7番・古賀風地(3年)の中前適時打で勝ち越し点を挙げた。

 乙訓は2回以降、立命館宇治の先発・髙木要(3年)の前に追加点を奪えていなかったが、5回表に髙木を捉える。

 二死一、二塁から藤岡の左前適時打で同点とすると、なおも一、二塁と勝ち越しのチャンスで1回戦の福知山成美戦でサヨナラ本塁打を放っている6番の福井裕太(3年)を迎える。福井は1ボールからの高めのストレートを振り抜くと、レフトスタンドに飛び込む3ランとなり、乙訓が勝ち越し。一気に3点のリードを奪った。



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里井祥吾監督の話を聞く立命館宇治の選手たち

 これで勢いに乗った乙訓は6回表にも1番・田中純平(3年)の適時三塁打と相手の失策で2点を追加。中盤の猛攻で一気に試合の主導権を握った。

 林は制球に苦しみながらも6回3失点にまとめると、7回から登板した2番手の斉藤俊(3年)も立命館宇治の反撃を1点に凌ぐ。8対4で乙訓が勝利して準決勝進出を決めた。

 決勝3ランを放った福井はこれが高校通算3本目の本塁打。2本目が先週の福知山成美戦のサヨナラ弾と今大会で開花したラッキーボーイだ。身長162㎝と小柄だが、「パンチ力がある」(市川監督)と自慢の長打力を2次戦に入っていかんなく発揮している。

 母の日に本塁打を打てたことで、「いつもお世話になっているので恩返しができたと思います」と笑みを浮かべた福井。この日は最高の親孝行ができたのではないだろうか。

 また、この日は林の17歳の誕生日でもあった。「流れを持って来られなかったのでダメでした。力が入ってしまいました」と17歳初登板には反省しきりだったが、2年生にして最速143㎞を投げる本格派右腕の活躍にこれからも注目だ。

 福知山成美立命館宇治と力のあるチームを続けて破った乙訓。秋は経験不足に泣いたが、「人間的に成長した」(市川監督)と冬場を経て3年生に上級生としての自覚が芽生えた。苦戦しながらも強豪相手に勝つことで順調に経験値を積んでいる。今大会で残り2試合を戦えることが決まったが、夏に向けて実りのある試合をすることはできるだろうか。

(文:馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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