試合レポート

日大三vs都立杉並

2018.09.17

日大三、夏苦戦の都立杉並に本領発揮の7回コールド

日大三vs都立杉並 | 高校野球ドットコム
7回を奪三振9の無失点の好投を見せた廣澤優(日大三)

 

 この夏、甲子園でベスト4まで進出した日大三であるが、西東京大会の最初の試合では、序盤にリードを許し、あわや初戦敗退かという窮地に追い込まれた。それが都立杉並であり、都立杉並には、この夏のメンバーが結構残っている。日大三の新チームになっての最初の公式戦の相手は、またしても都立杉並である。それでも都立杉並の田北和暁監督は、「夏は夏ですから」と気を引き締める。一方日大三の小倉全由監督は、「やはり嫌ですよ。選手は硬くなっていました」と語る。

 日大三の先発は、背番号1になった長身の廣澤 優日大三の新チームになっての特記事項としては、主将は捕手の佐藤 英雄が務め、夏までには外野手であった前田 聖矢は二塁手になり、1番打者。4番は投手も兼ねる外野手の平野 将伍が担う。

 都立杉並は廣澤の速球に対し、ファーストストライクから積極的に打ちに来る。1回表、夏を経験している1番の井島 太輝もやはり、初球から打ちに来て、ファールで粘った末に、左前安打で出塁する。都立杉並はバントはせずに、続く打者も積極的に打ち来る。ただ、後続の3人は打ち取られる。

 2回表も、夏を経験しているこの回先頭の5番・関根 忠大が積極的に打って、左前安打で出塁する。関根は二盗で二塁に進むが、やはり送りバントはしない。

 「廣澤投手からバントは難しいこということがあります。それよりもしっかり振れば、チームも乗りますから」と都立杉並の田北監督は語る。都立杉並の積極的な攻撃に、日大三の小倉監督は、「1、2回はやられるのではないかと思いました」と語る。

 それでも廣澤は甲子園の舞台を経験し、一回り成長しており、落ち着いている。「最初は慌てていました。それでも、いつも通りコントロールを意識して投げるようにしました」と廣澤。快速のストレートだけでなく、スライダーやチェンジアップなどの変化球も有効に使い、2回も無失点に抑えると、徐々に投球にすごみが出てくる。

 一方都立杉並の先発は、背番号11の長身の左腕の大矢翔馬日大三相手に完投は困難であり、どうつなげるかという中での、最初の投手である。

 大矢は1回裏こそ、左打者が続く日大三を三者凡退に抑えたものの、2回裏は4死球で押し出し。2番手の下手投げ、井島から1番・前田が中前安打を放ち2人が生還し、この回日大三は3点を先制する。

 3回裏も日大三は安打2本に相手外野手の落球などもあり2点を追加。

 4回裏も、新4番打者の平野がセンターオーバーの三塁打を放つと、返球のミスもあり一気に生還するなどして3点を追加し、試合を決めた。6回裏も安打2本で1点を追加する。

 投げては廣澤が7回を奪三振9の無失点に抑えた。

 夏の甲子園が終わって1カ月も経っていないが、廣澤は「たくさん食べることと、体幹を鍛えることを意識してトレーニングをしてきました」と語る。この夏対戦した金足農吉田 輝星に関しては、「すごいと思いました。吉田投手を目標にし、超えられるようになりたいです」と語った。

 一方敗れた都立杉並であるが、この2カ月余り、常に日大三を意識して練習をしてきた。「これまでは夏の続きで、夏が終わったという感じです。選手も疲れています。これからトレーニングをするよう、切り替えていきたい」と田北監督は語る。

 9月と言っても、まだ夏の暑さが残っているが、この夏都立杉並は、東京の高校球界で注目される存在になった。ここで一旦リセットし、さらに鍛えられたチームの成長に期待したい。

(文=大島裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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