試合レポート

相模原vs橘

2015.05.03

プレッシャーを感じながらも自分たちの野球を貫き通すことができるか

力投を見せる宮崎(相模原)

 快進撃で勝ち進んできた神奈川橘と、昨秋4強の自信を胸に順当に勝ち上がってきた相模原。公立校同士の対決ということもあり、スタンドはほぼ満員。神奈川橘にいたっては、チアリーダー・ブラスバンド・一般生徒も動員するなど、夏さながらの応援態勢。春でこのような環境の中で、両校の選手にとってはなかなか味わえない感覚だろう。やはりそれが両チームの心理状態に焦りを生んだのか。最初から最後まで慌ただしい試合展開となった。

 1回裏、相模原は1番木村が右翼線を破る二塁打を放つと、その後、二死三塁となるが、4番森山が左へ適時二塁打し1点を先制。さらに5番市川の中前安打で一、三塁として、6番後藤が右前適時打を放ち、2点を先制する。

 だが2回表、神奈川橘は二死三塁の場面で8番石川を三振に打ち取られたかように見えたが、振り逃げで1点を返し、2対1とする。

 そして2回裏、相模原は、一死満塁のチャンスを作り、3番本郷の押し出し死球で3対1とすると、4番森山の右前適時打で二者生還し5対1とする。さらに3回裏にも橘の敵失の間に1点を追加するなど、6対1に。相模原が強打を披露し、神奈川橘を圧倒する戦いを見せているように見えたが、4回表、一死後、5番寒水の四球、6番増岡は敵失で一死一、二塁でチャンスを作り、7番浅岡の三ゴロで二死二、三塁となって、8番高田の左中間を破る適時二塁打で2点を返し、さらにバッテリーミスが絡んで6対4と2点差に迫る。

 だが4回裏、相模原は一死満塁から7番宮崎がフェンス直撃の二塁打を放って9対4とすると、さらに二死一、三塁から1番木村が右越え三塁打を放って、11対4と一気に差を広げたように見えた。

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主将としてチームを引っ張った福田(橘)

 しかし相模原の先発・宮崎と、守備陣がぴりっとしない。6回表、2つの失策で、無死一、二塁のピンチを迎え、その後、一死二、三塁となって、9番上條の遊ゴロで1点を返されると、7回表には4番肥後の適時打で11対6となり、宮崎は降板する。

 宮崎は3回戦の横須賀総合戦で16奪三振完封を挙げるなど、今大会は快調な投球が目立つ。しかし今日は内外角のストレートが思うようにまとまらず、またバッテリーミスが多く絡み、宮崎らしい投球ではなかった。こういう時こそ、守りが盛り立てたいところ。しかし投球、守備ともに思い通りの野球ができず、「今日は自分たちの野球ができていないな」と相模原ナインも感じる内容だったかもしれない。投げているボール自体は悪くなく、キレのある速球、スライダー、カーブの精度は高く、好投手と感じさせるものであった。

 その後、相模原は8回裏、一死一、二塁から8番金子の適時打、9番井口の適時打が飛び出し、13対6でコールド勝ちで関東大会出場を決めた。

 お互い今まで通りの野球ができず、荒れた試合展開となった。特に守備面では、思わぬミスが生まれ、今までの試合では見られない姿であった。やはり関東大会出場がかかったプレッシャーがあったかもしれない。
 両チームは第一シードとして注目されながら夏を迎えることになるが、相模原は昨秋4強入りをしているので、プレッシャーには乗り越えられると考えられるが、橘にとって初めての経験。プレッシャーを感じながら試合をするのは、本来の力を発揮しにくいのが圧倒的に多い。その中でも、最低限の守備ができるチームは、勝ち上がることができるのだ。今のままでは、夏は厳しいかもしれないと感じた試合だっただろう。

 今までは向かっていく立場だったが、夏まで追われる立場で野球をやる。今日は悪いものがすべて出た試合だっただろう。

 ここまでの戦いは、他の公立校が私学の強豪校に勝つにはどうすればよいのか、それを明確にした両チームの選手たちは見事であった。
 今後、両チームが多大な注目されながらも、自分たちの野球を貫き通すことができれば本物の強豪と呼ばれるだろう。

 

(文=河嶋宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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