尽誠学園vs英明
尽誠学園、真の復活への「産みの苦しみ」
今大会はノーシードながら昨秋は県大会優勝、2010・2011年は2年連続甲子園出場も果たしている英明相手の準決勝で、春の四国王者、第1シードの尽誠学園は苦しみ、苦しみ、苦しみぬいた。
今大会初先発の2年生右腕・中山清治(2年)は7回二死二塁から英明2番・松井大樹右翼手(2年)に中前先制適時打を浴びるも6安打1失点。土肥星也、武田浩輝の左右3年生ダブルエースの故障により突然のエース指名を受けた春季四国大会の経験は、奪三振1・4四球も内野ゴロ11という「らしい」ピッチングスタイルとなって体現される。
ただ、打線は軟投派2年生左腕・赤川大和の前に6安打もあと一本が出ない展開。8回には中山を継いだ土肥が2連続押し出しでの2失点で0対3。球場内には波乱ムードが支配し始めた。
が、ここでも活きたのは春季四国大会決勝戦・9回表二死から鳴門(徳島)相手に2点差を逆転した「経験値」であった。
8回裏は先頭打者の9番・古本健太三塁手(3年)からの4連打で1点を返すと、一死満塁から5番・大西一馬一塁手(3年)が赤川の絶対的武器・チェンジアップを拾い上げる技あり中前2点適時打で同点。そして9回裏、8回に続き1番・篠原卓吾左翼手(主将・3年)、赤堀聖二塁手(3年)の連打で作った一死二・三塁で前打席に適時打を放った3番・西丸泰史遊撃手(2年)が内角高めを腰回転で引っ張り込む右越二塁打。春季四国大会で決勝打を放った西丸の4安打目は、6年ぶり13度目のファイナリストへの扉を開けるサヨナラ打となった。
その決勝戦の相手は準決勝では高松北の最速147キロ2年生左腕・塹江敦哉を初回11得点と完膚なきまでに打ち崩し、3年連続9度目の決勝戦進出の経験を誇示した丸亀。13年ぶり4度目の甲子園へ満を持してぶつかってくる彼らに、昨秋県大会3位決定戦でまさかの逆転サヨナラ負けを喫したリベンジを果たすことが、尽誠学園の6年ぶり11度目となる夏の香川制覇、そして「真の復活」への最終ミッションとなる。
(文=寺下 友徳)