試合レポート

日大三vs浦和学院

2010.11.16

日大三vs浦和学院 | 高校野球ドットコム

吉永健太朗(日大三)

成熟した日大三のエース吉永 浦和学院期待の1年生佐藤・石橋

2試合目は東京都代表の日大三と関東代表の浦和学院の対決。
日大三は4回の裏、清水のタイムリーと菅沼の3ランホームランで4点を先制。
7回の表、浦和学院はファーストのエラーで1点を返す。
8回の裏、日大三はノーアウト1,3塁から5番金子のダブルプレーの間に三塁ランナーがホームインし、1点を追加。
9回の表、浦和学院は日高のツーベース、石橋のツーベースでノーアウト2,3塁のチャンスを作るが、内野ゴロで1点を返すのがやっと。
日大三のエース吉永が後続を締めてゲームセット。
決勝進出を果たし、関東・東京枠増枠は日大三に委ねられることになった。

日大三vs浦和学院 | 高校野球ドットコム

日大三吉永健太朗は2試合連続完投。
都大会でも3試合連続完投・決勝戦では完封勝利を挙げており、任された試合は殆ど完投をしているピッチャーだ。

球速は常時135キロ~140キロ(マックス145キロ)を計測したが、北海戦に比べると勢いがないように感じた。マックス140キロ後半の速球を投げる能力がありながらもこの試合は変化球中心の投球に終始した。スライダー、カーブ、縦のスライダー、チェンジアップと4球種を投げ分け速球を狙う浦和学院打線を抑え込んだ。

今年の選抜よりも投球が出来ている印象で、都大会で3試合連続先発をこなしたことで投球を覚えたのかという質問に対し、吉永は「そうですね。今まではただ投げているだけでしたが、最近になって相手打者を分析しながら投げるようになりました。そして投げ続けることで力の抜き方も覚えるようになりました」と本人も連投をこなす中で、投球を覚えていることを実感しているようだ。

また決め球のチェンジアップについて。彼のチェンジアップはシンカー気味に落ちていく。このチェンジアップを修得したのは1年秋。練習して投げたら空振りが多くとれたという。それからチェンジアップを磨いていき、彼のウイニングショットになった。まだ左打者しか使っておらず、これからは右打者にも使っていきたいと話した。

2年夏でマックス147キロをマークし、強烈なチェンジアップを投げていた吉永。フォームに癖がなく、2011年度のドラフト候補に挙がる投手だと思っていた。そのためにはひとつの課題を乗り越えなければならなかった。それはエースとして都大会を勝ち抜くことである。素晴らしい能力を持つ彼が公式戦を通じてエースとして成熟するか期待していたからである。彼は3試合連続完投・決勝戦完封勝利を挙げて都大会優勝を成し遂げた。この課題をクリアした彼は素晴らしい。

明治神宮大会での活躍によって彼の評価は更に高まっている。素晴らしいポテンシャルに投手としての総合力の高さと勝てる投手というワードが加わった。間違いなく来年のドラフト候補に挙がる投手だ。


日大三vs浦和学院 | 高校野球ドットコム

佐藤拓也(浦和学院)

日大三vs浦和学院 | 高校野球ドットコム

浦和学院の1番ピッチャー佐藤拓也(右/左 171センチ71キロ)は投打に高いセンスを誇るプレーヤー。投げては135キロの直球に多彩な変化球を操る。野手としては抜群のバットコントロールと俊足を誇る。
投手・野手両面で振り返っていきたい。

(投手)
右スリークォーターから投げ込む常時125キロ~133キロ。110キロ前後のスライダー、90キロ前後のカーブ、120キロ前後のツーシーム、115キロ前後のチェンジアップを投げる。変化球の種類は実に多彩。ストレートの球速がそれほど速くないためストレートを速く見せるために多くの変化球を修得して補っているようだ。本人も強力打線・日大三ということもあって必要以上に変化球を混ぜ、厳しくコーナーに突く投球を見せた。

しかしストライクコース僅かに外れ5四死球。4回には四球でランナーを溜めたところから菅沼にホームランを打たれ、5回で降板した。

佐藤は相当悔しさを露わにしており、菅沼にはカーブをフルスイングされたが、佐藤はカーブが狙い打っているのを見抜けなかったのを悔しがっていた。

課題は「厳しく攻める中で、四球を出してしまうのが自分の弱さ。これからは厳しく攻めて抑えられるように、ストレート、変化球も磨いていきたい」と話した。

高校1年生としてはストレートの速さ以外は完成しているように感じる。
さてこの冬の間に投手としての強さを身につけることができるかどうか注目してみたい。

(野手)
野手としても高いセンスを誇る佐藤拓也。この試合では1安打を放った。
スクエアスタンスから構える姿はいかにも好打者らしい癖のない構え。投手の足が降りたところから始動を仕掛けていき、足を高く上げて踏み込んでいく。トップはそれほど大きく取らずに、ヘッドを残して振り出していく。インパクトまで最短距離で捉えることができており、140キロ台の速球にも自分のポイントで打ち返すことができている。高校1年生にしてこのバットコントロールはずば抜けている。
スピード感溢れる動き・バットコントロールの良さを見ると野手の素材。
本人は投手としての拘りがかなり強いため、野手・佐藤拓也が大成するのは野手として活躍しようという気概を持った時期だろう。
これからも密かに野手・佐藤にも注目していきたい。


日大三vs浦和学院 | 高校野球ドットコム

石橋司(浦和学院)

日大三vs浦和学院 | 高校野球ドットコム

浦和学院の6番石橋司(左/左 182センチ78キロ 外野手 1年生)は春先から話題に挙がっていた大型外野手。

彼を見るのは今回が初めてだが、182センチの恵まれた体格からスピーディな動きができる外野手だ。俊足を活かした守備は守備範囲が非常に広く、この試合でも抜けそうな当たりに追いつき、飛び込んでキャッチするなど足で魅せた。
打撃でも二塁打2本。レフトオーバーの二塁打、ライトオーバーの二塁打を放った。スイングがシャープで、打球も鋭い。攻守のレベルが高い1年生で、将来が楽しみな選手。
再来年はエースの佐藤ともに浦和学院を引っ張って行く存在になっていきそうだ。

(文=河嶋 宗一)
(写真=高校野球情報.com編集部)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.02

福岡に逸材現る! ケガから復帰後即144キロ! 沖学園2年生エース・川畑秀輔に注目だ!

2024.06.02

【中国】倉敷商が13年ぶり、尾道は12年ぶりの決勝へ<春季地区大会>

2024.06.02

【東京六大学】早稲田大が7季ぶり47回目の優勝!早慶戦2連勝で決め、六大学最多優勝回数単独トップに!

2024.06.02

【鹿児島NHK杯】鹿屋農、鹿児島実に逆転勝ちで初の決勝へ!

2024.06.02

早大・尾瀬雄大がソロHR含む4安打3打点の大暴れ!今春リーグ戦で首位打者のヒットメーカーが優勝を近づける活躍!

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.29

【宮崎】延岡学園と日章学園がともにタイブレークを制して4強入り<県選手権大会>

2024.05.28

【鹿児島】鹿児島玉龍と樟南が8強へ<NHK旗>

2024.05.28

【佐賀】佐賀商と龍谷が、ともにコールド勝ちで決勝へ<NHK杯>

2024.05.28

【鹿児島NHK選抜大会】錦江湾が1点差勝利!出水工の追い上げ、あと1点及ばず

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得