試合レポート

東浦vs阿久比

2020.07.11

緊迫の好投手戦、東浦が僅差で逃げ切る

東浦vs阿久比 | 高校野球ドットコム
踊るように投げ込む東浦・伊加田君

【熱戦の模様をギャラリーでチェック!】

 昨秋は知多地区1位校として県大会にはシード校として出場した東浦。初戦となった2回戦では名古屋地区の公立校の曲者でもある名市工芸に競り勝った。3回戦では中部大春日丘に屈したものの、それまでの戦いぶりも評価されて21世紀枠の愛知県推薦校に選出された。

 就任当初は、満足にメンバー数だけの部員も集まり切らない状況から部活動としても活性化させていった中嶋勇喜監督としては感慨ひとしおの今回の推薦だった。とはいえ、目指す甲子園はまだまだ遠い。それでも、「一つひとつ実績を積み重ねていく」という意識での地道なチーム作りは、今回のコロナ禍であっても、ぶれることなく着実に歩んできた。

 対する阿久比は、昨秋知多地区一次リーグで敗退。悔しさを味わった。今大会は3年生9人と2年生3人の12人という陣容で挑む。新入生には10人ほどの野球経験者はいたけれども、コロナの影響などで練習が出来ない状態になって、結局結果的には現状入部者0ということになってしまっている。

 何とか雨も上がって、正午過ぎに始まった試合。東浦は昨年からの経験も豊富な伊加田君、阿久比も切れのいい投球をする北川君で初回は共に四球は出したものの、無難な立ち上がりだった。

 先制したのは東浦で2回、一死から6番神君、7番岡本君が連打で出塁。二死一二塁となったところで東浦ベンチは重盗を仕掛けると、それが悪送球を呼んで幸運に1点をもぎ取った。

 3回は無死で松尾君が二塁打して四死球で満塁にするも、あと一本がなかった東浦。4回に二死三塁から松尾君が右前へクリーンヒットして2点目を奪った。

 しかし、阿久比の北川君も切れ味のいい投球は衰えず、「ゾーンに入っていた」と言えるくらいに、きっちりと自分の投球を続けていた。ただ、伊加田君も気持ちのこもった投球で阿久比打線はもう一つ攻めきれないまま試合は後半戦に入っていく。そして6回、阿久比は二死から3番関君以下、山本君、北川君が3連打してついに1点をもぎ取った。

 こうして、1点差のまま緊迫の投手戦は終盤に突入していく。7回から伊加田君はまたギアを入れ直したかのように3イニングを3者凡退で抑え込んで結局このまま最少得点差を逃げ切った。

 主将でもある伊加田君だが、中嶋監督は「秋の大会以降に自覚を持たせようということで主将にして、この春からまた替えようかとも思っていたのですが、コロナでそのまま自粛になってしまったので、結局、今さら替えてもということで、そのまま主将ということでやっていくことになった」と説明してくれたが、そんな自覚がいい形で表れた投球とも言っていいであろう。

 結局5安打で1点しか奪えなかった阿久比。今年は現状、1年生の入部がないままで、秋からは合同チームとしてしか戦えなくなってしまったが、12人で戦ったこの試合はいい内容だったと言えよう。これといったミスもなく、北川君も最後まで気持ちの入ったいい投球だった。

 阿久比の河村貴弘監督も「素晴らしい投球をしてくれた」と評価する北川君の好投で、敗れはしたものの、最後の夏の戦いとしていい戦いぶりだったのではないだろうか。「本当は、こういう試合をしておいたら、アピールできて、部員も集まるんでしょうけれども」と、1年生がいないことを残念がった。秋からは大府東との合同チームで戦う予定だという。

 東浦は期末試験の最中でもあり、いろいろ大変な状況だが、これで、「来週からは、もっと伸び伸びやれるはず」と中嶋監督も期待している。そして、「まずは、知多地区1位で名古屋市内勢と戦わないといかん」と引き締めていた。

(取材=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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