関東一vs都立府中工
関東一の新エース・小川樹が投げては7回9奪三振、打っては2本塁打の活躍!
小川樹(関東一)
シード校・関東一が大事な初戦で、粘り強い守備が身上の都立府中工相手に、パワーで圧倒した。1回裏、4番溝渕龍之介の左前適時打で1点を先制すると、7番に座るエース・小川 樹(3年)が右中間へ本塁打を放つ。なおも一死三塁のチャンスを作り、さらに犠飛で1点を追加する。
3回裏、関東一は二死から5番立崎由祐の本塁打で1点を追加。そして7番小川が左中間へ2本目となる本塁打を放ち、3回まで5対0と大きくリードした。
小川は、前年から活躍を見せていた右の好投手。先発でも、リリーフでも器用にこなす小川が、一発を打てる打者として台頭すると他校のライバルたちにとって怖いだろう。今回の2ホーマーは打った瞬間、本塁打と思わせるもので、今日の小川は今までの小川にはない姿が見られた。打てる投手を目指すことは、新チームになってから取り組んでいる選手像である。小川はこれまでの取り組みを明かしてくれた。
「前のチームでは、投げることに専念していただきましたが、今年のチームでは自分も打っていかないといけないので、秋から野手の練習はしていました。投球練習の合間にバットを振ったり、外野手の練習をしたり、練習試合では代打としてスタンバイするなど、いつでも野手としていける準備は僕の中でしていました」
この日の2本塁打は小川の選手としての可能性を広げさせる大きなものとなった
投手としても冴えたピッチングを見せた。上半身の開きが遅く、下半身主導の動きで投げていく投球フォーム。
このフォームによって、球速表示以上の勢いを感じさせるストレートを投げることができており、135キロ前後(最速136キロ)の直球を両サイドにしっかりと投げ分けるコントロールを披露。
ストレートに加えて、切れのある120キロ~125キロ前後の球速が速いスライダー、切れのあるカーブ、チェンジアップを投げ分ける完成度の高いピッチング。5回に1点を失ったが、最後まで安定した内容。
打線も4回まで9点を入れて、9対1でコールド勝ちを収めた。だが、本人は投球内容に納得しておらず、「5回の1失点は、4回裏に味方が走塁ミスをした直後での失点でしたので、先発投手としては良くない失点。60点ぐらいの内容です」と厳しい自己採点をつけた。
高いハードルを設けるのも、昨秋、準々決勝で敗れた早実など、強豪校を打ち破るため。順調に勝ち進めば、準決勝で早実と対決する。もちろん倒すには簡単な相手ではない。そのために米澤監督が選手たちに求めているのは個々の役割の徹底だ。適材適所で、選手たちが能力を発揮すれば、勝利に近づいていく。これまでの関東一がそうだったように、小川は勝つために何が求められるのかを考え、しっかりと理解した上で、今日の活躍につなげてきた。
どんな相手でも勝てる投球を。そしてここぞというときに勝負強い打撃を。投打の柱として、2015年から続いている3年連続の夏の甲子園出場を目指すキーマンとなる。
(取材・写真=河嶋宗一)
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