東亜学園vs都立足立西

都立足立西・秦山

　2日前に延長14回タイブレークに及ぶ大熱戦を勝ち抜いたばかりの都立足立西と、秋季都大会ベスト8で、2回戦から登場する東亜学園の対決。

　都立足立西は2日前に延長14回を投げ抜いたばかりの秦山 優唯斗が先発。「一昨日240球を投げたばかりで、ちょっと厳しい」と都立足立西の齋藤 司監督が言うように、秦山にとっては、試練のマウンドであったが、登録部員14人の都立足立西としては、交代要員はいなかった。

　1回表の東亜学園の攻撃こそ三者凡退で抑えたものの、2回表は4番の強打者・鈴木 翼を四球で歩かせ、7番・佐藤 文哉の右中間を破る三塁打で、東亜学園が1点を入れる。さらに続く二階堂 奨斗のレフト線への安打でさらに1点を追加した。

　しかしその後は変化球主体の投球が、低めにコントロールされるようになり、走者を出しながらも、追加点を許さない。それでも都立足立西の齋藤監督は、「（1次予選の）桐朋や専大付の時は、いい投球をしましたが、その時には及びません」と語る。

　一方東亜学園の先発は背番号1の田原 芳紀。「秋は本大会からベンチに入りましたが、4番手か5番手の投手でした。ここのところ、調子が良くなってきました」と、東亜学園の上田 滋監督は語る。背番号1の決め手は、「ストライクが入ることです」と言う。冗談のようにも聞こえるが、このところ、制球難で自滅することが多かっただけに、重要な問題でもある。

3安打完封の田原投手（東亜学園）

「練習をやっても痩せないんですよ」と上田監督が言う田原は、身長176センチで体重85キロと、かなりボリュームのある体。その分球も重そうで、手元で思った以上に伸びるという。

　1回裏こそ、初の公式戦のマウンドの緊張からか、四球を2個出したものの、相手の走塁ミスもあり、得点を許さない。2回裏も一死後6番・中山 陽登に二塁打を打たれたものの、後続を断つと、3～6回はテンポのいい投球で三者凡退に切って取る。

　6回表には東亜学園の4番・鈴木がレフトフェンスを越える本塁打で1点を追加。8回になると、健闘していた都立足立西の秦山も、肘を気にするようになりだし、球威も落ちる。するとこの回先頭の1番・池添 輝信がライト線への二塁打で出塁すると、2番・小野 公平の犠打は三塁手の失策を誘い、池添が生還。さらに5番土岐大聖の四球などで二死二、三塁として、6番・平野 智也の左前安打で2点を取り、勝負を決めた。

　田原は7回と9回に1安打ずつ許したものの、終わってみれば9回を106球で、被安打３、四死球2の完封。奪三振はわずか2個であったものの、東亜学園に新エースが登場したことを告げる1勝になった。

　一方都立足立西は1回戦で本塁打、三塁打を打ちまくった4番・岩見雄大が、3打数無安打1四球に抑えられただけでなく、3番の秦山も3打数無安打犠打1に終わった。「3、4番が打たないと点が取れません」と都立足立西の齋藤監督は言う。それでも、疲労のある中での秦山投手の踏ん張りは印象に残った。あとは部員数を増やすことと、下位打線の強化だろう。
一方東亜学園の上田監督は、「とにかくシード校を取らないと」と、夏のシード校がかかった、3回戦の戦いに、強い決意を語った。

（取材・写真＝大島 裕史）

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