試合レポート

川越東vs坂戸西

2011.04.16

川越東vs坂戸西 | 高校野球ドットコム

永井(川越東)

勝敗を分けた取り返そうとする気持ち

 昨夏Bシードの坂戸西川越東、強豪同士の一戦は予想どおり1点を争う好ゲームとなった。

 初回、川越東は先発永井が無失点で切り抜けると、その裏、鮮やかな先制攻撃をみせる。坂戸西の先発左腕伊藤の立ち上がりを攻め、角野のヒットに四球を絡め1死満塁とする。すると
「無心で打席に入った。うまく反応できた」
と言う5番・城下が右中間フェンス直撃の走者一掃タイムリー3ベースを放ち、まずは川越東が幸先良く3点を先制する。

 この3点で川越東が流れを掴むかと思われたが、その後ミスが出て流れに乗れない。

 2回裏、この回先頭の永井がヒットで出塁するも次打者福満の時にエンドランを仕掛けるが、結果は三振ゲッツーとなり無得点。さらに、4回も先頭の中村が2ベースで出塁するが、続く大崎が初球を打ち上げてしまう。

結局、後続も倒れこの回もチャンスを活かせない。

 すると4回、永井の投球がやや単調になった所を坂戸打線に狙われ、4番安部に2ラン、さらに6番湯川にも右翼席に運ばれ、この回一気に3-3の同点に追いつかれる。
「コースも甘かったですが、真っ直ぐ、真っ直ぐになってしまって。もう少し変化球を混ぜればよかった」
と永井もこの失点を受け、その後はこれまでのストレート、スライダーにフォークを織り交ぜたこともあり、坂戸西打線に的を絞らせない。

 一方の川越東は、5回、6回と湊谷の右前タイムリーなどで小刻みに中押し点を奪い再び2点差をつける。


川越東vs坂戸西 | 高校野球ドットコム

猿田(川越東)

 7回永井が急に制球を乱す。連続四球を出し無死1,2塁とすると2死後1番猪俣の打球はサードの横を抜けレフト前タイムリーとなり5-4とされる。ここでたまらず、川越東ベンチは永井から二羽へスイッチする。二羽はこのピンチを絶妙な牽制で2塁ランナーを刺しピンチを凌ぐが、続く8回は坂戸西・吉村にタイムリー2ベースを打たれ、またしても同点に追いつかれる。だが、その後のピンチをサードから再びマウンドに上がった永井が抑える。そして、8回裏にこの試合の山場を迎える。

 7回からマウンドに上がっていた坂戸西のエース長谷川に対し、先頭の城下が右中間2ベースを放つ。中村が送り、1死3塁となると坂戸西ベンチは満塁策を選択する。1死満塁でバッターは二羽。ここで川越東ベンチは、フルカウントからのスクイズを選択する。だが、結果はファールとなりスリーバント失敗に終わる。3塁側スタンドからはため息が漏れる。これでチャンスは潰れたかと思われた。だが、次の瞬間3塁側スタンドのため息は歓声へと変わっていた。2死満塁から
「(二羽の分も)何とか1点でも取ろうって気持ちで打った」
と意気込んで打席に入った、キャプテン猿田の打球がライト前に落ちたのだ。2者が生還し、川越東は貴重な2点をもぎ取った。

 最終回坂戸西も粘りをみせ2死2,3塁と一打同点のチャンスを作るが、最後は頼みの4番安部が三振し万事休す。川越東が接戦を物にし県大会へと駒を進めた。

 昨年、川越東は高梨、坂戸西は長島という大黒柱がいたが今年はいない。だからこそ、両チーム共に今年は全員野球で戦わなければいけない。両チーム共に二桁安打を打ち、幾つか細かいミスも出た。似たような試合展開の中で勝敗を分けたのは、失敗した選手の分も泥臭く何とか取り返そうとするキャプテンの気持ちだったのかもしれない。

(文=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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