暑さになれる方法とやってはいけないこと
暑い環境に長くいるほどスタミナを消耗しやすいので、早い時期から暑熱馴化を実践しよう
日中の気温が上昇し、半袖のアンダーシャツでプレーする選手も増えてきた頃でしょうか。実践練習や練習試合などが続き「体が思うように動かない」「練習後はぐったりして食事もそこそこにそのまま寝てしまう」といった傾向が見られる時期です。新入生の皆さんだとなおさらで「練習についていくのが精一杯」という選手もいることでしょう。日本は暑さだけではなく湿気の多い気候ですが、夏の暑さだけではなく急激に気温が上昇し、湿度が高い時期にも熱中症は起こることがあります。
熱中症を未然に防ぐ方法としては、体を暑さにならす「暑熱馴化:しょねつじゅんか」という方法があります。暑い時期に備えて事前に準備しておくものですが、基本的な方法としては「汗をかいて体温を下げ、適切に体温調節ができる体」にするというものです。日頃から練習をしている皆さんにとっては汗をかくことはさほどむずかしいものではありませんが、汗をかくと水分とともに塩分を含むミネラル分が排出されますので、適切な水分補給・塩分補給を行いながら、電解質バランスを整えるようにします。一般的に暑熱馴化は一週間~10日ほどかかると言われていますので、体調や気温を考慮しながら少しずつ暑さになれるようにしましょう。また練習前後に体重を測ることでも水分補給の状態を把握することができます。体重の2%を越えて体重が減少しないように、こまめに水分・塩分補給を行いましょう。
たくさん汗をかくことを目的として、夏前にウインドブレーカーを羽織って人工的に暑い状態をつくり出し練習を行うチームもあるようですが、ウインドブレーカーという特性を考えると、熱がこもりやすく、脱水症状や熱中症のリスクが高まります。気温や天候などの外部環境だけではなく、個人の基礎体力、コンディション(睡眠不足であるとか、風邪をひいているとか)によっても適応能力が違ってきますので、こうしたことを理解した上で無理のない練習内容、練習量を設定する必要があります。
ウインドブレーカーを羽織ることよりもオススメしたいのが長袖アンダーシャツの活用です。暑い時期ですが皮膚の日焼け対策としても効果的ですし(日焼けをすると皮膚が炎症を起こし疲れやすくなる)、汗をかいたら着替えるようにして何枚か準備しておくと、効果的に暑熱馴化を行うことができます。また屋外と屋内の気温差によっても体が変調をきたしますので、クーラーの効き過ぎた場所に長時間いることは避け、少し暑いかなという環境に体を慣れさせるようにしましょう。
文:西村 典子
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