スポーツ外傷と患部のチェック
選手の「大丈夫」を鵜呑みにせず、きちんと確認しよう。
トレーニングやコンディショニングには、スポーツ時のケガを未然に防ぐ目的がありますが、どうしても防ぎきれないものの中にスポーツ外傷があります。アクシデントなどによって起こる突発的なケガのことで、野球は頻度としては多くありませんが、もし起こった時にはどのようなことを確認すればいいかについてまとめておきます。
1)ケガをしたときの状態
アクシデントが起こった時の状況を確認します。「足首をひねった」「打撲した」と自分でケガの部位や状況がわかるものから、「どういう風に相手とぶつかった」「どういう格好で倒れた」といった目撃者から見たものについて情報を集めます。頭頸部、顔面付近へのケガについては意識の有無を確認し、むやみに体を動かさずドクター、トレーナーなどの専門家や指導者の方の指示に従いましょう。
2)動作のチェックを行う
時間の経過を見ながら「患部を動かすことができるか」「歩けるか」といった動作を確認します。またその時にしびれがあったり、患部に変形などが見られる場合は時間をかけて評価する必要が出てきます。
3)痛みや腫れについて確認する
ケガによる痛みがプレーに支障がない程度のものなのか、プレーを続けるには厳しいほど強い痛みを覚えるか、時間の経過によって痛みがどんどん強くなるかといったことをチェックします。患部が時間をおかず急激に腫れてきた場合は応急処置の基本であるRICE(患部の安静・保護、アイシング、バンテージなどでの軽い圧迫、挙上できるようであれば心臓より高い位置に挙げる)を行い、すみやかに医療機関を受診しましょう。
この他にフィジカルの専門家は患部の状態を確認し、必要に応じて触ったり、徒手によるストレステストなどを行って、ケガの評価を行います。ここで覚えておいてほしいことは多くの選手はケガをしてもある程度の痛みであれば我慢してしまったり、「大丈夫です」といってプレーを続けようとする傾向にあるということです。ケガを悪化させないためには、主観的な判断だけではなく、なるべく冷静に他者の評価も考慮した上で、必要に応じた対応をとるように心がけましょう。
文:西村 典子
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