気になるかかとの痛み
ベースを駆け抜けた際にかかとを痛めるケースがある
野球のプレーをしているときに「かかとが痛くなってしまった」経験はありませんか。練習や試合の時に打者走者としてベースを駆け抜ける際に、かかとから力強くベースを踏み込んでしまい、着地で大きな衝撃が加わって痛みを覚えることがあります。かかとの下には脂肪による分厚いクッションが存在するのですが、ベースを踏んだときの強い衝撃によってそのクッションが正しい位置からズレてしまったり、左右に押し広げられてクッションがつぶれた状態になっていることが考えられます。しばらくすると痛みが軽減するものから、かかとを浮かせないと歩くことがむずかしい状態となることもあり、痛みを我慢してプレーを続けることは、代償運動によってふくらはぎやアキレス腱などを痛めてしまうことにもなるので注意が必要です。
また突発的なケガだけではなく成長期にみられるかかとの痛みとして、踵骨(しょうこつ)骨端症:シーバー病と呼ばれるスポーツ傷害があります。これはかかとの骨である踵骨が、周囲の筋肉に引っ張られて痛みや腫れなどの炎症症状を伴うことがあります。ふくらはぎの筋肉はアキレス腱を通して踵骨に付着しますが、この筋肉が疲労などで柔軟性が低下していたり、激しい運動によって大きな負担を強いられるような状況が続くと、踵に牽引ストレスがかかって踵骨に炎症症状をもたらすようになります。足底にある土踏まずの面積が少ない偏平足の選手は、荷重ストレスなどによってかかとに強い衝撃が加わりやすいので特に注意が必要です。
痛みがある状態は安静を保ってアイシングを行う等のRICE処置をまず行いましょう。時間の経過とともに痛みがやわらぎ、炎症症状が軽快した状態であれば中敷きなどのインソールやテーピングなどでも対応することはできますが、これについては医師や専門家に相談しながら行うようにします。またかかとに負担をかける原因となりやすいふくらはぎの筋肉をストレッチしたり、ほぐしたりすることや、偏平足を改善させるための足指の運動、タオルギャザー、青竹踏み等の足裏アーチを保つためのトレーニングなども定期的に行うようにしましょう。さらに競技復帰直後は、アスファルトなどの硬い路面を長時間走ることはなるべく避けて、かかとに強い衝撃を与えないようにすることも大切です。
文:西村 典子
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