DeNA・森敬斗が規定打席到達!中日・岡林勇希はウエスタン首位打者も視野!
8月最後の週末、甲子園ではプロ志望の高校生による合同練習会が行われ、西日本の球児たちがそれぞれ実力をアピールした。本企画では、彼らより1年早くプロ入りを果たした高卒新人たちのファーム成績を1年間追いかけていく。第11回では野手たちを見ていこう。
規定打席到達者が再び9人に増加
高校時代の森敬斗
8月30日終了時点で、ファームの規定打席に到達しているのは、2週間前から2人増えて9人となった。彼らのOPSを可視化したのが下記グラフだ。
グラフから分かるように、中日の石川昂弥(東邦)、東北楽天の黒川史陽(智辯和歌山)が一歩抜け出している。再び規定打席に到達した石川は、OPS.738とトップの数字をマーク。長打率.379、出塁率.359とも9人の中では最高の数値を記録するなど、一軍での経験を活かし、ファームでも活躍を見せている。ここからどこまで数字を上げていくのか見物だ。
OPS.719を記録した黒川は、高卒新人トップタイの4本塁打放っており、長打率.371、出塁率.348も全く石川に見劣りしない数字だ。一軍の打線が好調なだけに昇格の機会は訪れていないが、今シーズン中の一軍デビューを期待したい。
2人に次ぐ数字を残しているのが、阪神の井上広大(履正社)、東京ヤクルトの武岡龍世(八戸学院光星)だ。井上はOPS.586と、2週間前から0.1ポイントほど落としているが、長打率.348は石川、黒川にも負けていない。4本塁打は相変わらずウエスタン・リーグトップ。147打席で56三振は多い数字だが、今は当てにいく打撃をするよりも、三振してでも長打力を磨いていきたいところだ。
武岡もOPSが0.6を切ってしまったが、43試合、170打席はイースタン・リーグトップの数字だ。一軍初打席で初安打も放っており、ここまではファームでも一軍でも充実のシーズンを過ごしている。井上、武岡はまずOPS.600の壁を破りたいところだ。
東京ヤクルト・長岡秀樹(八千代松陰)、広島東洋・韮沢雄也(花咲徳栄)、横浜DeNA・森敬斗(桐蔭学園)、読売・菊田拡和(常総学院)、オリックス・紅林弘太郎(駿河総合)はいずれもOPS0.500~0.530となっており、上記4人からはやや遅れを取っている状況だ。
しかし森はこの2週間で50打席近くに立って規定打席に到達すると、OPSも0.1ポイント近く上げてきた。打率こそ1割台に低迷しているが、4盗塁は高卒新人トップだ。シーズン序盤は出遅れたが、徐々に持ち味を発揮しつつある。紅林の52試合、214打席はいずれもファームトップだ。10失策もファームトップの数字だが、未来の正遊撃手候補としての期待の表れと言えるだろう。チームはパシフィック・リーグ最下位に沈んでおり、ファームで紅林を見てきた中島聡監督代行が、一軍で使う日も近いかもしれない。
規定打席未到達の選手では、中日の岡林勇希(菰野)がやはり好成績を残している。OPS.764はトップの石川を上回っており、このペースで出場を続ければ2週間後にはトップに躍り出ることになる。これまでは安打が全て単打だったが、この期間で二塁打を2本放っており、長打率アップにつながっている。打率.333もウエスタン・リーグ2位相当の数字であり、今後の出場次第では首位打者も視野に入れる。
一軍公式戦は各球団が60試合を終え、折り返し地点を過ぎたところ。ここからさらに熾烈な優勝、CS争いが繰り広げられることになるが、その起爆剤として彼らの起用はあるのか。ますます目が離せない。
※成績は全て8月30日終了時点
データ協力: やきうのおじさん(@yakuunoojisan)
Twitterで野球の分析を行う。本記事のデータはすべて日本野球機構(NPB)のオープンデータを使用。
(記事=林 龍也)
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