石川昂弥は高水準キープ!森敬斗、田部隼人のDeNA遊撃コンビが躍動!
7月に入り、各地で開催される高校野球の独自大会では、多くの球児たちが躍動を見せ始めている。彼らの中には今秋ドラフトで指名を受け、来年にはプロ野球選手としての第一歩を踏み出す選手もいることだろう。この連載では、そんな彼らの先輩である「高卒新人」に焦点を当て、そのファーム成績を追いかける。第3回では、野手を見ていこう。
OPSでは石川らが上位進出するが気になる高卒野手も
左から、森敬斗、石川昂弥、田部隼人
開幕してから約3週間が経ったが、7月5日終了時点で規定打席に到達している高卒新人野手は9名。中でもオリックスの紅林弘太郎(駿河総合)が最多の11試合、47打席に立つなど、出場数という点では一歩リードしている。次いで広島・韮沢雄也(花咲徳栄)、阪神・井上広大(履正社)、中日・石川昂弥(東邦)らが30打席以上に立った。
続いて彼らのOPSを見ていこう。この連載ではOPSを0.800以上、0.799~0.600、0.6未満の3グループに分けて考察しているが、0.6以上を記録したのは3名のみであった。トップの石川(0.777)は打率.259、長打率.444、出塁率.333と、ここまでの成績としては申し分ない数字と言えるだろう。7月2日には初ホームランも放っており、その長打力も示しつつある。四球を高卒新人トップの3つ選べていることも、好成績の要因の一つだろう。
2位(0.738)の井上は、ファームの四番として出場を続けており、7月2日の広島戦では逆方向への一発も放った。8試合で7打点と勝負強さも見せており、将来の四番候補としての期待が膨らむ。3位(0.666)の中日・岡林勇希(菰野)は、全て単打ながら22打数7安打で打率.318をマーク。長打が出るようになれば、一気に石川、井上を抜く可能性もある。
規定打席にこそ届いていないが、目覚ましい活躍を見せる選手も出てきた。広島東洋の育成2位の木下元秀(敦賀気比)は、20打数5安打、1本塁打を放つなどOPS0.718をマーク。率という面では、同期の韮澤を上回っている。
また、横浜DeNAの遊撃コンビの活躍も見逃せない。ドラフト1位の森敬斗(桐蔭学園)はまだ出場数は少ないが、初安打となるホームランを逆方向に叩き込むなど、大器の片鱗を見せた。その森を上回る活躍を見せているのが、ドラフト5位の田部隼人(開星)だ。7試合で19打数7安打、打率.389、OPSは石川を上回る0.778をマークした。同世代で同じポジションを争うライバル同士、今後の成長が楽しみでならない。
ドラフト上位の選手たちが期待通りの活躍を見せる一方で、東京ヤクルトの武岡龍世(八戸学院光星)や木下のように、下位や育成指名ながら活躍を見せる選手もいる。まだまだ出場数が少ない選手、出場自体がない選手も多いが、シーズンが終了する頃には彼らの名前が上位に来ている、ということもあるかもしれない。これからの展開にも、要注目だ。
データ協力: やきうのおじさん(@yakuunoojisan)
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(記事=林 龍也)
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