八田英二・日本高野連会長が日本高野連の取り組みと高校野球への想いを語る!【28年度東京都高野連指導者講習会】
会場の様子
12月3日、東京都高校野球連盟は海城高校講堂にて指導者研修会を開催した。
今回登場したのは、日本高野連会長の八田英二氏だ。今回のテーマは「学校組織と高校野球」。高校野球が選手の教育でどんな役割をになっているのか、また現在、日本高野連が取り組んでいる取り組みや課題について、東京都高野連に所属する監督、責任教師に解説を行った。
まず八田会長は、日本高野連主導で行った二大改革が実現した経緯を説明した。
1つ目は先般、世間的にも大きく注目された女子マネージャーの甲子園練習参加認可。八田会長は「女子マネージャーがグランドに立つことには日本高野連と現場の指導者の間で賛否両論が分かれ、なかなか実現しなかった」という歴史的背景を説明。
その上で「地方のチームでは部員数が減っており、連合チームや少人数で活動するチームが大きくなっている。そのため練習を運営する上で、女子マネージャーが大きな戦力になっているという声が高野連に届いた」とう段階を経て「日本高野連はこの事情を鑑み、もう一度、再議論の末、安全面を最大限確保したうえで、限定的な範囲でグラウンドに立つことを認可しました」と丁寧に説明した。
もう1つは今年のセンバツから始まったバックネット裏席に少年野球の選手を招く「ドリームシート」について。
八田会長は「少年野球では軟式の部員が激減しており、10年前は30万人だったら、今では20万人まで減っている現状があり、甲子園で本場の高校野球を見せたいという思いで、スタートした。この企画は現場の指導者、高野連の委員の中ではとても好評の企画で、センバツでは近畿圏の小学生が中心だったが、選手権では、新潟県の少年野球チームを招くなどエリアを拡大している」と定着化によるメリットを説明。
1試合につき108人を招き、春夏甲子園計79試合。約8500人の少年、少女たちを招いた2016年をベースに「来春の選抜でもさらにエリアを拡大したい」と未来像についても語っている。
また、八田会長は高野連の組織として活動している以下の2点もで説明した。
1.熱中症の対策
2.投手の肩ひじの対策
熱中症については日本高野連として現場の指導者に「水分補給の重要性、活動はどのくらい行っているのか」のヒアリング数値を明示。20年前は75パーセントの指導者が重要性を理解していたが、今では96パーセントの指導者がその重要性を理解して行動するまでとなり、水分補給の重要性はかなり浸透するようになった。
講演する八田会長
また、肩肘の対策については甲子園出場が決まったチームに対して、必ず専門の整形外科でX線検査を受診することを薦めている日本高野連の活動を紹介し「現在は甲子園出場チームが中心だが、高野連としては多くの学校が整形外科など専門家に診てもらって肩肘の対策をしてほしい」と切望した。
講演中、八田会長が繰り返し強調していたのは「高校野球は教育の一貫として取り組んでいるスポーツ」であること。
「私は同志社大の教授を務めているので、学生の披露宴に招かれるのですが、その時、野球部出身と紹介されるととてもうれしい気持ちになるんですよね。彼らが社会人になっているのは、大学で専門教育を学び、そして野球部では技術習得とともに人格形成を行ったという証なんですよね」
こういったエピソードも交えながら、選手たちの技術発展、人格形成の役割を担う重要性を語った。
最後に八田会長は、日本の高校野球は「携わっている人たちの情熱で成り立っているスポーツ」と話し、この逸話で締めた。
「特に審判の皆様を見て感じます。審判の方々は一般の社会人で、ボランティアでやっていただいております。しかも大事な時期に会社の休んでいただいてまでも協力してもらっている。そこには『高校球児のために力になりたい』という思い、そして情熱が感じられます。審判の方々だけではなく、選手を指導している指導者の皆様など高校野球に関わっている方はそういう情熱が感じられますし、私たち日本高野連はそういう思いに応えなければなりません」
これからも日本の高校野球が今以上に発展するため。これらも日本高野連は改革を尽くす。その決意がひしひしと感じられる八田会長の講演に、会場は大きな拍手に包まれた。