理解力高き選手たちで1年目からの快進撃へ

今年4月に入学した尽誠学園女子硬式野球部の1年生21名 

 こうしして晴れて今年4月、23名で創部の時を迎えた「尽誠学園高校女子硬式野球部」。4月9日、レクザムボールパーク丸亀での初練習を前に青山監督が選手たちに与えた課題は1つだけだった。

 「紅白戦をしますので、それができる準備をしといてください」

 その理由は初日から紅白戦をしても問題ないほど「理解度が高い」選手がそろっているから。1年生21人が参加した4月16日の練習、紅白戦を見ても、その片鱗はそこかしこにうかがえた。

 昨年、主将として全日本中学女子軟式大会の頂点に輝いた千葉 如乃さん(兵庫レッドガールズ出身)が「巨人の甲斐 拓也に憧れている」と扇の要として制球力ある複数投手をコントールすれば、山本 莉子さん(小豆島アカデミー出身)や和氣 永佳さん(マドンナ愛媛ジュニア出身)などは男子選手顔負けの俊足を披露。新設チームに多々課題が見られる守備面でも「全員が1個1個のプレーを確認していることで、紅白戦でのミスも減っている」と和氣さんも話す通り「ナイスジャッジ!」などコミュニケーションを図りながら質を上げていく姿が随所に見られた。

 そして何よりも印象的だったのが選手全員からあふれる向上意欲。取材日も「中学時代は男子と一緒にプレーしていたが、高校でも野球を続けて親に恩返ししたいと考えていたところ、青山先生に声をかけて頂いて」と真っ先に尽誠学園女子硬式野球への進路を選択した森 睦稀さん(香川中央シニア出身)をはじめ、全員が青山監督が止めるまでボールを追い続けていた。これには「これはいいチームになりますよ」と指揮官は心からの笑顔を見せた。

「愛されるチーム、部員」として、不屈の精神で日本一へ向かう

 かくして「野球を通じての人間形成、誰からも愛される野球部・野球部員」を目的にしつつ、選手たちから発案のあった日本一を掲げて前に進もうとしている。

 持ち前の行動力で5月25日(日)には全国屈指の強豪・履正社(大阪)のBチームとの練習試合を組んだ。青山監督は、6月8日(日)にレクザムボールパーク丸亀を使用し、現在4チームある四国地区高校野球女子チームが一堂に会しての「第1回女子野球四国交流大会」開催を緊急決定。

 現在、四国の女子高校野球部は2021年に全国高等学校女子硬式野球選手権で「甲子園決勝」を経験した高知中央がトップを走り、そこに室戸新田(愛媛)、尽誠学園が続く構図である。今大会でまずそこに風穴を開けるべく、野球部と同じユニフォームの誇りと、右袖に付けるフェニックスのごとき不屈の精神をもって闘いにいく。

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