昨年のドラフトで指名された社会人野球の選手はわずか14名。

 社会人野球のドラフト候補は、高校生、大学生と違って、即戦力で活躍することが求められる。特に大卒社会人になると年齢的にも指名のハードルが高くなる。

 ドラフト候補たちは10月下旬に開催される日本選手権出場をかけた地方大会、都市対抗予選、都市対抗の3大会でどれだけアピールできるかが指名につながる。もちろんオープン戦や、NPB二軍との交流戦もアピールの対象になる。

右、左ともに社会人を代表するパワーピッチャーが揃う

 最速155キロ右腕・後藤 凌寿(トヨタ自動車)は、社会人屈指のスピードボーラーで、昨年の日本選手権でも常時150キロ中盤を計測した。現時点でも中継ぎの起用が多いが、平均球速150キロオーバーの速球投手は需要が高い。今年で26歳を迎えるENEOS・飯田 琉斗投手(向上-横浜商大)もプロ入りを目指し、勝負をかけている。

 東海地区ではHonda鈴鹿・川原 嗣貴大阪桐蔭)が今年にかける。大阪桐蔭時代から150キロの速球、スライダー、フォーク、カーブを操り、甲子園、U-18ワールドカップで活躍を見せた。高校では指名漏れとなったが、この2年間、社会人でも試合が作れるパワーピッチャーへ成長した。3月のスポニチ大会では思うような投球ができなかったが、都市対抗予選で好投を重ねていけば、再び評価は上がりそうだ。

 近畿地区にも好投手が揃う。

 日本新薬の遠藤 慎也京都翔英-亜細亜大)、日本生命・谷脇 弘起(那賀-立命館大)の右の本格派が注目される。遠藤は高校時代、ソフトバンクの岩井 俊介投手と同期で、遠藤がエースで、岩井が控え投手だった。亜細亜大ではあまり登板はなかったが、日本新薬では1年目から主戦で活躍し、14試合、49.2回を投げ、防御率2.72の活躍。常時140キロ後半の速球、スライダーを投げ分ける投球スタイルで先発型投手として存在感を示してきた。今年の公式戦でも好投を見せており、さらに評価を高めたい。

 谷脇は立命館大時代にはノーヒットノーランを達成し、社会人1年目からエースとして活躍し、社会人の日本代表にも選出された。伸びのある140キロ後半の速球と多彩な変化球を投げ分け、先発型の投手として評価されている。プロのスカウトから好まれる球質が良いタイプで、1年間通して実績を重ねていきたい。

 NTT西日本・島田 直哉龍谷大平安-立教大)は今年の公式戦で150キロ台を連発しており、春先から急激に評価が高まったパワーピッチャーだ。

 左腕では鷺宮製作所の竹丸 和幸(崇徳-城西大)が今年大卒2年目。3月のスポニチ大会では多数のスカウトが視察する中、JR東日本戦で8回2失点の好投を見せ、評価を高めている。トヨタ自動車の増居 翔太(彦根東-慶応大)は制球力が非常に高く、キレのあるストレートで三振を奪うことができる。完成度の高い左腕を求める球団にはマッチしそうだ。

 ヤマハの沢山 優介掛川西)は185センチ82キロと恵まれた体格を活かしたオーバーハンドで、常時140キロ後半の速球、曲がりが大きいカーブで翻弄する本格派左腕。今年3月に行われたWBC予選ではブラジル代表に選出され、力投を見せた。

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