【春季鹿児島大会】鹿児島実が完封勝利、国分中央は「良い試合」で終わらせたくないと食い下がるも敗退
井上剣也(鹿児島実)
<第154回九州高校野球大会鹿児島県予選:鹿児島実2-0国分中央>◇2日◇準々決勝◇平和リース
鹿児島実は立ち上がり、2死二塁から4番・原田 颯馬(3年)の右越え二塁打で先制する。
その裏、国分中央は1死二、三塁と逆転機を作ったが、鹿児島実の右腕エース・井上 剣也投手(3年)の前に連続三振で生かせなかった。
2回以降は鹿児島実・井上、国分中央の左腕・奥 亮太投手(3年)の好投で、両者ゼロ行進が続く。
鹿児島実は毎回のように走者を出し、押し気味に試合を進めるも、なかなか適時打が出ない。それでも9回2死から1番・満留 裕星(3年)が粘って左前適時打で出塁し、2番・丸山 陸(3年)が左越え二塁打を放って、貴重な追加点を得た。
その裏、国分中央は先頭の2番・柳田 大志(2年)がチーム初の二塁打で出塁し、3番・福永 彪馬が連打でつなぎ、無死一、三塁と、一打同点の好機を作る。だが井上が三者連続三振で切り抜け、最後まで本塁を踏ませなかった。井上は16奪三振の好投で完封勝利を挙げた。
「『良い試合』で絶対終わらせないぞ!」
「自分1人ぐらい、いいと思うな。みんなでやるぞ!」
国分中央の東田 誠矢主将(3年)は熱い言葉で一塁側ベンチを鼓舞し続けた。強豪・鹿児島実を相手に失点は初回の1点のみで終盤を迎える。自分のエラーが失点に絡んだのが悔やまれるが、その後は三塁手・柳田との三遊間は鉄壁で、再三、鹿児島実の強打を好守で食い止め続けていた。
「頑張って投げている奥のために点を取りたい」。その気持ちで打線の奮起を促すが、140キロ超の球威を持つ県内最速右腕・井上の投球をなかなかとらえられない。それでも「自分たちは終盤に強い」と言い続け、必ずチャンスは来ると信じていた。
7回3点差の状況を設定し、残り3イニングを守備側は守り切り、攻撃側は逆転を目指して本気の勝負をする。通称「土壇場練習」をやってきた。実際、2回戦の隼人工戦と3回戦の鹿児島戦は、いずれも得点したのは終盤だった。
手も足も出なかった井上から、8回は1死二塁、9回は連打で無死一、三塁。一打同点、逆転の好機は作った。だが、いずれも後続がすべて三振で打ち取られた。東田主将も8回2死二塁の場面で、気負いを見透かされたように、緩い変化球で追い込まれ、この日最速の148キロの直球を空振り、3球三振に仕留められた。
「このレベルの投手を打ち崩さないと、チームの目標『夏の甲子園1勝』は達成できない」。そのことを肌で痛感した。打てるようになるには練習しかない。これから夏までに何をすべきか、明確に見つかった貴重な敗戦だった。