試合レポート

【春季東京都大会】豊南がタイブレークで都立小岩にサヨナラ勝ち

2024.04.02


<春季東京都高校野球大会:豊南7-6都立小岩(延長10回タイブレーク>◇1日◇1回戦◇S&D昭島スタジアム

昨秋の都大会に出場できなかったチームで、3月中旬から1次ブロック予選が行われてきた。その1次予選を勝ち上がった48校を加えた、全122校で、関東地区では最も早く、4月の声とともに本大会の東京都大会が開幕した。

豊南は昨秋の本大会進出を果たし、ブロック予選は免除で、この試合が今季最初の公式戦となる。そういう意味では、いくらか緊張はあるのかもしれない。昨秋の都大会では1回戦で明星に8回コールド9対2と快勝したが、2回戦では岩倉に6回コールドで大敗という悔しい思いもしている。

これに対して都立小岩はブロック予選を2試合戦ってきている。いずれも初回にビッグイニングを作って、14点を奪い青山と青井、足立東などの6校連合に対して5回コールド勝ちしての進出である。そういう意味では、チームとしては勢いには乗っているといえそうだ。

試合は初回はともに先頭打者が安打するとバントで進め、3番打者も出塁して塁を埋めて、都立小岩は針貝、豊南は勝呂 慎大捕手(3年)と4番がともに適時打を放って1点ずつを取り合う。さらに2回にも豊南は四球の走者をバントなどで三塁まで進め、1番・中山 太馳外野手(3年)が2打席連続の安打で1点を勝ち越した。

しかし、都立小岩も3回に四球と失策でチャンスを貰うと野選と犠飛で2点を奪って逆転。こうして試合は、細かい点の取り合いという展開で続いていく。

追いかける豊南は5回に2番・松尾 太陽内野手(2年)の二塁打をきっかけに内野ゴロで同点として、なおも相手失策と死球押し出しで再逆転した。

豊南のマウンドは比較的オーソドックスな右腕の安井 直樹投手(2年)に代わって、5回からは下手投げで地を這うような位置から腕が出てくる中村 仁投手(3年)となる。しかも、相手の眼が下手投げに慣れてきたかなというところで、時にスリークォーター気味に投げ込んでビックリさせる。スピードはなくても、こうして工夫しながら何とかかわしていた。

それでも、粘りを見せる都立小岩は8回に1番・田島のこの日3本目の安打で1点差とする。そして、9回には失策で貰った好機に、8番・森田がしぶとく左前へ落して同点とした。その裏、都立小岩は3人目の廣瀬投手を送る。四球などで不安を覗かせたが、併殺で切り抜けてタイブレークとなった。

タイブレークはともに9番打者からだった。

都立小岩は、送りバントが相手失策を誘って無死満塁。ここで、豊南ベンチは3人目の1番をつけた田中 大智投手(3年)に交代、三振と遊直併殺で逃れた。

豊南はしっかりバントで送り1死二、三塁。1番・中山の打球はどん詰まりだったが、これがボテボテで内野安打となり、スタートを切っていた三塁走者がホームインしてサヨナラとなった。

苦しいシーソーゲームを何とかものにした豊南は、弓田鋭彦監督が体調不良のため小林周作監督代行が采配を担っていた。「5点が目安の戦いになるかなとは思っていたが、生徒たちが本当によく頑張ってくれた。やるべきことをみんなそれぞれがやって行こうということを言っていましたが、全員でアウトを取るという姿勢が表れていた」と、点はある程度取れたものの、守り切れた試合だったと評価していた。

都立小岩は競り合いながらも、悔しい負けとなった。都立城東時代の2001年夏に主将として甲子園出場を果たしている茶川剛史監督は「一生懸命に頑張っているのですけれども…。中軸がもう1つ打てなかったことが痛かったですね。それでも、8回、9回に追いつけた粘りは評価していいと思います。ここまで戦えたことは今後への自信としていっていいと思います」と、前任の都立淵江から異動して就任5年目。今季のチームには、ある程度行けるぞという感触があるだけに、春季大会ではもう1つ、2つ上のステージに立たせたかったというのも正直なところであろう。

この記事の執筆者: 手束 仁

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