試合レポート

【春季東京大会一次予選】イチローが指導した都立新宿が都大会へ進出!レジェンドの言葉「やるのは自分たちだよ」を胸に刻んで

2024.03.24


勝利した都立新宿

<春季東京都高校野球1次予選:都立新宿8-0都立南平(7回コールド)>◇23日◇代表決定戦◇国士舘グラウンド

2022年度は1日で60万人近くが乗車するという記録が残るなど、巨大ターミナル駅となっている新宿駅。そんな新宿駅から徒歩5分ほどのところにある都立新宿は偏差値70近くある進学校だが、野球部は文武両道を貫く姿勢から、2022年11月にはイチロー氏が訪問して指導にあたったことが話題になった。

あれから1年4か月、都立新宿はブロック予選で都立南平と対戦して、8対0の7回コールドで勝利した。
1対0で迎えた5回に、3番・江森大智から3連続適時打などで一挙7得点。試合の主導権を握り、都大会出場を決めた。

「今年はトレーニングを頑張っていましたので、新基準バットになっても影響が小さく、むしろ打てている。それが自信になっていると思います」

秋からチーム指揮している長井監督は都大会出場の喜びを感じながら、一冬での成長点を挙げる。そこにはイチロー氏から学んだことも関わっている。

「時間や場所がないなか、トレーニングを週4日組みましたけど、選手たちは主体になって朝7時半から始めるなどして、提示したメニューをやりきってくれました。
たしかに当時は選手や私にとってもイチローさんとの出会いは大きなものでしたが、あれは原点であって、『やるのは自分たちだよ』と話しています。思い出で終わるのではなく、続けていくことが大事だと思っていますので」

3月に卒業したOBの姿を見ても「イチローさんの伝えようとした意図を、自身の生き方に落とし込んで、文武両道をやり切った。その姿がイチローさんの指導の価値を高めてくれた」と長井監督は話す。

当時1年生で指導を受け、現在は主将としてチームを引っ張る中川翔太捕手の心にも、当時の経験は強く刻まれている。
「基本に忠実、そして徹底してやっていることを学ばせてもらったので、このオフはとにかく基本的な技術練習をやりました。
あとは『ちゃんとやってね』というメッセージは刺さっています。野球はもちろんですけど、『勉強もちゃんとやってね』という意味だったと思うんです。自分たちは夏に野球が終わっても、そこから勉強もしっかりやるチームなので、両方にメッセージを送ってくれたと感じています。先輩もそこを理解したから、凄い大学に進んでいると思います」

実際、筑波大など国立大に現役で合格する選手もいるなど、まさに文武両道を貫いた選手が今年もいる。その姿が「励みになるし、自分たちもしっかりやらないといけない」と刺激になっていると中川主将は話す。

継続は力なり、という言葉があるが、都立新宿の場合は文武両道をやり続けることが、力になるはずだ。
都大会では初戦で都立日比谷と対戦。同じく文武両道で奮闘する都立高が相手なだけに、「野球で負けるわけにはいかない」と中川主将、長井監督は口を揃えて語る。果たして軍配はどちらに上がるのか。

この記事の執筆者: 田中 裕毅

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.26

【春季四国大会逸材紹介・高知編】2人の高校日本代表候補に注目!明徳義塾の山畑は名将・馬淵監督が認めたパンチ力が魅力!高知のエース右腕・平は地元愛媛で プロ入りへアピールなるか!

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

【奈良】智辯学園が13点コールド!奈良北は接戦制して3回戦進出!<春季大会>

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.26

【春季奈良県大会】期待の1年生も登板!智辯学園が5回コールド勝ち!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.23

【春季埼玉県大会】地区大会屈指の好カードは川口市立が浦和実を8回逆転で下し県大会へ!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!