【春季東京大会一次予選】イチローが指導した都立新宿が都大会へ進出!レジェンドの言葉「やるのは自分たちだよ」を胸に刻んで
勝利した都立新宿
<春季東京都高校野球1次予選:都立新宿8-0都立南平(7回コールド)>◇23日◇代表決定戦◇国士舘グラウンド
2022年度は1日で60万人近くが乗車するという記録が残るなど、巨大ターミナル駅となっている新宿駅。そんな新宿駅から徒歩5分ほどのところにある都立新宿は偏差値70近くある進学校だが、野球部は文武両道を貫く姿勢から、2022年11月にはイチロー氏が訪問して指導にあたったことが話題になった。
あれから1年4か月、都立新宿はブロック予選で都立南平と対戦して、8対0の7回コールドで勝利した。
1対0で迎えた5回に、3番・江森大智から3連続適時打などで一挙7得点。試合の主導権を握り、都大会出場を決めた。
「今年はトレーニングを頑張っていましたので、新基準バットになっても影響が小さく、むしろ打てている。それが自信になっていると思います」
秋からチーム指揮している長井監督は都大会出場の喜びを感じながら、一冬での成長点を挙げる。そこにはイチロー氏から学んだことも関わっている。
「時間や場所がないなか、トレーニングを週4日組みましたけど、選手たちは主体になって朝7時半から始めるなどして、提示したメニューをやりきってくれました。
たしかに当時は選手や私にとってもイチローさんとの出会いは大きなものでしたが、あれは原点であって、『やるのは自分たちだよ』と話しています。思い出で終わるのではなく、続けていくことが大事だと思っていますので」
3月に卒業したOBの姿を見ても「イチローさんの伝えようとした意図を、自身の生き方に落とし込んで、文武両道をやり切った。その姿がイチローさんの指導の価値を高めてくれた」と長井監督は話す。
当時1年生で指導を受け、現在は主将としてチームを引っ張る中川翔太捕手の心にも、当時の経験は強く刻まれている。
「基本に忠実、そして徹底してやっていることを学ばせてもらったので、このオフはとにかく基本的な技術練習をやりました。
あとは『ちゃんとやってね』というメッセージは刺さっています。野球はもちろんですけど、『勉強もちゃんとやってね』という意味だったと思うんです。自分たちは夏に野球が終わっても、そこから勉強もしっかりやるチームなので、両方にメッセージを送ってくれたと感じています。先輩もそこを理解したから、凄い大学に進んでいると思います」
実際、筑波大など国立大に現役で合格する選手もいるなど、まさに文武両道を貫いた選手が今年もいる。その姿が「励みになるし、自分たちもしっかりやらないといけない」と刺激になっていると中川主将は話す。
継続は力なり、という言葉があるが、都立新宿の場合は文武両道をやり続けることが、力になるはずだ。
都大会では初戦で都立日比谷と対戦。同じく文武両道で奮闘する都立高が相手なだけに、「野球で負けるわけにはいかない」と中川主将、長井監督は口を揃えて語る。果たして軍配はどちらに上がるのか。