試合レポート

手の内を知っている同士の都立総合工科と都立足立新田は接戦と乱戦となった

2024.03.04


小森 万凜(都立総合工科)

<練習試合:都立足立新田7―6都立総合工科、18―7都立総合工科>◇3日◇総合工科グラウンド

3月になって、高校野球の対外試合が解禁された。全国で最も早く、今年は3月16日から1次ブロック予選が始まる東京都の各校では、いち早く実戦を経験しておきたいところだ。

今季からは新基準のバット使用ということになり、力任せだけではない確かな打撃も必要とされる。その一方で、「長打力のないチームでも、十分に戦える戦術を磨くことができる」とも言われている。ただ、都立足立新田の有馬 信夫監督の「しっかり振ってきて、芯で捉えられるチームだったら、そんなには変わらないはずだ」という意見もある。

飛ばないということを意識して、外野がやや浅めに守っているケースもあるので、芯で捉えた打球が頭上を越えていくということもある。それに、比較的浅めの野手の間をゴロで抜いていくということもある。守備位置も含めて、各チームともまだ、模索しながらの「新基準のバット対策」ということだろう。早いところでは2週間後には公式戦が始まっていく。これから実戦を通じて慣れていきたいところだが、時間は限られている。「習うより慣れろ」というところかもしれない。

都立総合工科都立足立新田は、年に何度も練習試合を組んでいる間柄でもある。昨年も11月に、シーズン最後の試合を行っていて、今季もオープニングゲームということになる。それだけに、お互いにチームとして、冬の間にどれだけ底上げすることができたのかということの確認という意味合いにもなる。また、新基準バットに対して、どれだけ順応してきているのかというところも確かめたいところであろう。

この試合では、思っていた以上に外野手の頭上を越えたり、間を抜いていく打球が多かった。それに、試合の流れとしても、この日の試合ではどちらも、どういうわけか人のいないところに打球が落ちてしまうというケースもあって、2試合目などは大乱戦になってしまった。

空気も冷たくて気温も低かったということもあって、今ひとつ野手の動きが芳しくなかったというところもあったかもしれない。また、お互いに今シーズンになっての最初の実戦でもあり、守備位置も含めて戸惑い気味のところもあって、そこに打球が落ちるというシーンも多くあった。捕ってから、一息ついて送球しようとして、悪送球になってしまったり、送球がお辞儀してしまって一塁手の手前でショートバウンドになって後逸なんていうこともままあった。

有馬監督は、試合前のミーテングでは、「もう、シーズンに入ったんだから、マイナスなことは言うなよ」という指示も与えていた。ミスがあっても、選手たちは積極的に向かっていく姿勢は失わないで行こうという姿勢を貫いていっていた。結果として、この日の1戦目は、都立足立新田にとってはリードを追いつかれながらも最後に突き放して、競り合いをものにしたというのは大きかった。2試合目は、都立総合工科の投手陣が7人登板したものの、もう一つピリッとせずに乱れたということもあって、2度の打者12人攻撃というビッグイニングもあって大量点を奪った。17安打に相手失策も重なっての大量点ということになった。

都立総合工科は、昨秋の大会で会場校として戦ったブロック予選を突破して本大会に進出しているため、1次予選は免除。4月1日からの東京都大会からの登場となり、まだ少し時間はある。とはいえ、この日の試合では、後半はやや集中を欠いてしまったかなと思われるようなところもあった。このあたりは、弘松恒夫監督も、試合中でもベンチから大きな声で指示を与えていた。苦しい時に、試合途中で修正する能力も求められるということであろう。

そんな中で、都立総合工科で1試合目の2番手として登板した左腕の小森投手の仕上がりが良かった。カーブが大きく、4イニングを投げて8奪三振1失点という内容は、十分に及第点であろう。また、3番に入っていた河合が2本の三塁打を放って気を吐いた。

都立足立新田は、昨秋は1次予選で早大学院に敗れて本大会進出を逃しているため、この春も1次予選からの出場となる。投手陣は、ある程度は有馬監督の思いに近い形に向かっているのではないかというところでもあろうか。とはいえ、まだまだ調整していかなくてはならない課題は多くありそうだ。この日、行われた組み合わせ抽選で、初戦は2週間後で、都立上水との対戦となった。

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この記事の執筆者: 手束 仁

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