【甲子園】決勝 慶應義塾 vs 仙台育英

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SCORE
慶應義塾
仙台育英

1	2	3	4	5	6	7	8	9	10	11	12	13	14
2	1	0	0	5	0	0	0	0
0	1	1	0	0	0	0	0	0

TOTAL
8
2

慶應義塾の大応援団を勢い付かせた先頭打者本塁打

＜第105回全国高校野球選手権記念大会：慶應義塾8－2仙台育英＞◇23日◇決勝◇甲子園

今年の決勝戦は慶應義塾（神奈川）の独壇場だった。三塁アルプスどころか三塁側スタンドも慶應義塾ファンで埋め尽くされ、得点が入れば「若き血」を立って歌いながら応援する。その声量は今までみたことがないものだ。

なぜそうなったのか。それはやはり、1番・丸田 湊斗外野手（3年）の夏の甲子園決勝では史上初となる先頭打者本塁打が飛び出したことによる。まだ1回表の1点かもしれないが、「若き血」からの大熱唱は、記者席にもその圧力が伝わってきた。そこから慶應義塾は最後まで自分たちのペースで試合を進めた。

丸田の攻撃的なスタイルが実った。空振りとなったが、初球から強く振った。沖縄尚学（沖縄）の東恩納 蒼投手（3年）を攻略した時も、初球から果敢に振っていったが、百戦錬磨の仙台育英（宮城）バッテリーにもプレッシャーを与えることになった。変化球が多めになることを読んだ丸田の読みがズバリと当たり、本塁打につながった。試合の主導権を握る大きな1点となった。

さらに1点を追加するなど、先発・湯田 統真投手（3年）に対し、多くの球数を投げさせた。いつも主導権を握っている仙台育英バッテリーの配球が、いつもより受け身になっていた。

仙台育英は2回、3回に1点ずつ返し、ゲームを立て直そうとするのが見られたが、勢いをつける一打が出ない。4回が終わって、3対2と慶應義塾がリード。5回から高橋 煌稀投手（3年）がマウンドに立つが、集中打やエラーもあり、5回に5失点。これで試合が決した。

仙台育英の尾形 樹人捕手（3年）は「配球やコースの中でいつも反省していることや、課題にしていることが今日すべて出てしまった感じです」と振り返り、髙橋も「相手打線が一枚も上手でした」と振り返った。

強打の慶應義塾打線が本領発揮したといえるだろう。5回の5点で、慶應義塾の選手たちはさらに落ち着いてプレーしていた。

6点のリードに、5回から登板した小宅 雅己投手（2年）も力強い140キロ前半の直球で仙台育英打線をねじ伏せることができていた。

改めて振り返っても、仙台育英が防戦一方で、凌ぐような戦いになったのは、丸田の先頭打者本塁打が大きかった。

仙台育英は今大会6試合目。湯田、高橋にかかる負担は、やはり大きかった。須江監督は「この2人の投球は大きかったです。ただ1回戦からの投球が集積になって、投球に影響が出たのはあります。それでも本当によく投げてくれました」とダブルエースの投球を称えた。

今年は慶應義塾の強みがよく出た大会だった。常識を疑い、そしてアップデートを続ける慶應義塾野球部の価値観がこの甲子園で認められるようになったのは、素晴らしいことだ。

高校野球の現場では、選手を自立させるために、また従来の高校野球を変えるために独自のやり方で運営しているチームや、素晴らしい指導者が多くいる。未来の甲子園はそういった学校にも多く陽の当たる舞台であってほしい。