【甲子園】準々決勝 慶應義塾 vs 沖縄尚学
「脱丸刈り」イケメンナインが103年ぶり4強、慶應義塾が4番の一振りで逆転
<第105回全国高校野球選手権記念大会:慶應義塾7ー2沖縄尚学>◇19日◇準々決勝◇甲子園
帽子をとって風になびく前髪をきれいに整えた20人の「慶應ボーイ」が、晴れやかな表情で並んだ。見事な逆転勝利で校歌を歌う慶應義塾(神奈川)ナイン。103年ぶりの4強に、大きく胸を張った。
鮮やかな逆転劇だった。5回まで沖縄尚学(沖縄)の147キロ右腕、東恩納 蒼投手(3年)に歯が立たなかった。3安打しか打てずに7三振。4回には2番から4番の主軸3人が3者連続三振を喫していた。4回に2ランで先制され、5回を終わって0対2。すべてが悪い流れだったが、6回からはまるで別のチームに生まれ変わったかのように、打ち出した。
4番の一振りが一気に流れを変えた。6回1死満塁のチャンスで加藤 右悟外野手(2年)が左中間へ走者一掃の3点適時二塁打。たった一振りで2点差を逆転してみせた。この加藤の一打が合図になったように、5番打者から3連打。この回、一気に6得点のビッグイニングを作った。
試合を動かしたのは沖縄尚学の4番だった。4回に仲田 侑仁内野手(3年)が左翼席へ先制2ラン。今センバツでド派手な満塁弾を放ったスラッガーが、夏も見事なアーチを掲げてみせた。2試合でわずか1安打の不振から抜け出した1発に、沖縄尚学のベンチも興奮に包まれたが、6回に慶應義塾の4番の一振りで形勢をひっくり返された。
東恩納投手は、2試合連続完投の疲れがなかったといえば、やはり嘘になるだろう。初回からその兆候はあった。球は走っていたが高かった。140キロ後半なら圧倒できたかもしれないが、140キロ前半なら、慶應義塾打線も慣れるのに時間はかからなかった。クーリングタイム明けの6回。投手によっては微妙なタイムラグの調整に苦しむこともあるという。東恩納もそうだったのかもしれない。
慶應義塾は、慶應普通部として出場し準優勝した1920年以来の4強を手にした。103年前には想像もつかなかっただろう、「脱丸刈り」のさわやかイケメンたちが、令和の新時代に、1916年第2回大会以来、107年ぶりの夏日本一をつかみにいく。
須田和城
2024-01-16 at 11:39 AM
仲田、プロで主砲として馳せろ