森 煌誠選手 (徳島商)
愛工大名電相手に1失点完投勝利!徳島商・149キロ右腕の進化したポイントを徹底分析
この夏の甲子園(第105回全国高校野球選手権記念大会)で、徳島商(徳島)の149キロ右腕・森 煌誠投手(3年)が初戦で愛工大名電(愛知)相手に1失点完投勝利を収めた。U-18代表の強化合宿の時から見ているが、これほど投球内容が変わった投手もなかなかいない。 淡白な投球がなくなった。強化合宿に参加した時は140キロ中盤を計測し、威力ある直球を投げ、さすが四国を代表する右腕と思わせた。たまに130キロ中盤の直球を痛打されたり、甘く入ったカーブを打たれて、失点も多かった。つまり、80点〜90点の球と40点ぐらいの球が半分ずつといった感じで、打者からすれば甘い球をしっかりとたたけば良かった。 そのため、能力の割には勝ちきれない投手だった。U-18代表の1次合宿の強化合宿で、レベルの高い打者たちとの対戦に力んでしまい、思い通りの球が投げられなかった。それが、この夏の快投の出発点になった。 「どうすれば力まずに自分の思い通りに投げられるのか。そこを考えました」 感覚をつかんだのは6月下旬。真鍋 成憧捕手(3年)はこう語る。 「それまでは140キロ後半の速球は球速表示ほど感じなかったのですが、6月下旬になって、急に手元で伸びるストレートになって、覚醒したなと思いました」 愛工大名電戦は直球の走りは好調時ほどではなかったようだが、平均球速が143キロと、高校生投手としては別格。直球主体でいきながらも、130キロ中盤のスプリットも冴えわたった。直球狙いの打者に対してはスプリットを徹底的に投げて抑えるなど、無駄球もなかった。120キロ前半のカーブも精度が高く、決め球、カウント球の変化球にも磨きがかかった。 本格派右腕として大事な平均球速の高さと、三振が奪える縦変化の変化球もあり、球質も大きく改善。そして最も課題だった淡白な投球がなくなった。投手としてのスケールの大きさもある。 すでに、プロ志望届を出さない意向を語っている。甲子園、徳島大会の投球は高卒プロ指名に値する投球であったといえる。ただ、ワンクッション置いて、もっと高みを目指せる投手であることは確か。どちらのステージに進んでも成功するには、この夏の快投のきっかけになった「学びの心」を持ち続けることができるかだろう。 数年後にはもっと騒がれる存在になることを期待したい。
更新日時:2023.08.13
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