加藤学園vs大垣日大
後半に勝負強さ示した加藤学園が、センバツ帰りの大垣日大に逆転勝ち
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8回に逆転して盛り上がる加藤学園ベンチ
<春季高校野球東海大会:加藤学園5-4大垣日大>◇20日◇1回戦◇静岡草薙
昨秋の東海大会でベスト4に残ったチーム同士の対決となった。昨秋の大会は、センバツが記念大会ということもあって東海地区の選出枠が1校増えて、ベスト4に進出すればその可能性は高いとされていた。結局、センバツ切符を得たのは大垣日大(岐阜)だったが、それだけに今大会静岡県1位として出場している加藤学園としては、自分たちも力はあったのだということを改めて示したいところであろう。負けたくない戦いとなったことは言うまでもない。
センバツ帰りの大垣日大は、春季県大会でも安定した戦いぶりで勝ち上がってきた。決勝では、県立岐阜商に最少失点で敗れたものの、投手を中心としたしっかりとした野球をしてきている。
大垣日大は2回、失策とバント野選で無死一、三塁の先制機を作る。しかし、ここで加藤学園の先発左腕・吉川 慧投手(3年)は踏ん張って、三振と内野ゴロ併殺で切り抜ける。
その裏、加藤学園は4番・大木 漣内野手(3年)がチーム初安打を放つと、四球後、片山 晴貴捕手(2年)も左前打して無死満塁とすると、7番・松本 太一外野手(3年)が四球を選んで押し出しで先制した。しかし、その後は、遊直併殺などもあって、大垣日大の左サイドハンドの矢野 海翔投手(3年)が1失点のみで切り抜けた。
そして4回、大垣日大は3番・山田 渓太外野手(3年)が左前打で失策もあって二塁まで進むと、続く米津 煌太内野手(3年)が右翼線に二塁打して同点とした。その後もバントで三塁まで進んでいたが、山内 伊織外野手(2年)の内野ゴロは、遊撃手の安東 飛雅内野手(3年)の好送球で本塁アウトとしてこの回、大垣日大は同点止まり。
それでも5回、大垣日大は四球の走者を1番・髙川 莉玖内野手(2年)の二塁打でかえしてリードを奪う。そして、加藤学園の米山学監督は、吉川を下げて、右腕・酒井 翔輝投手(3年)を送り出した。酒井はその後のピンチを何とか切り抜ける。しかし大垣日大は6回、7番の北村 琉翔捕手(3年)が右越え2ランを放って突き放した。
ところが加藤学園は粘り強い。米山監督は常々「野球は後半勝負」ということを言っていて、その意識を選手たちにも徹底して刷り込んでいる。6回は1死から途中出場していた石田 獅音外野手(3年)が左前打で出ると、続く6番・片山が左中間二塁打でかえす。代打は倒れたものの、8番・安東が中越え二塁打で1点差。ここで、大垣日大・阪口慶三監督は右翼を守っていたエースナンバーの山田と矢野を入れ替えた。しかし、その代わり端を、この試合初打席の曽根 敬大外野手(3年)がたたいて右越え三塁打として、ついに同点に追いついた。これで、大垣日大は再び右翼手と投手を入れ替えた。
加藤学園は7回のマウンドには、県大会準決勝に公式戦初先発で好投した小澤 亨彦投手(2年)を投入。すっかり自信をつけた小澤は、度胸良く投げ込んでいき、安打はされてもしっかりとその後を抑え切っていった。
そして、小澤が踏ん張っている間の8回、加藤学園は先頭の6番・片山が左中間二塁打すると、次は小澤自身に打順が回ってきたのだが、思い切ったスイングで捉えた打球は中前へはじき返され、結果的にこれが決勝打となった。
米山監督は、「小澤のタイムリーは、たまたまでした。正直あまり期待していませんでした。本来、送りバントだったんですが、それがファウルになったので、苦肉の策で打たせたら、たまたまタイムリーになってしまいました(苦笑)。だけど、そういうところもチームとしての勢いになっていったと思います。9回も先頭に打たれましたが、前の回の投球で低めで空振りを取れていたので、このまま行こうと思っていました」と、3人の継投でしのぎ切った、終盤勝負で勝ちをもぎ取っていく加藤学園らしい戦いぶりでもあった。それでも、米山監督は、「夏へ向けて取り組んでいること、送球ミスをなくすことや中継プレーの大事さ、そういう部分の精度はまだまだです」と、反省点も見逃してはいなかった。
大垣日大としては、本来は4番で捕手の高橋 慎捕手(3年)が欠場となったのも響いた。それでも、代役で出場した背番号15の北村捕手が6回には2ランを放って、スコアとしては一時は3点リードまで広げてはいた。しかし加藤学園の粘りにあって、逃げ切れなかった。
(取材=手束 仁)