試合レポート

浦和実vs昌平

2019.04.30

豆田が7回までノーヒットに抑える好投の浦和実業が関東へ

浦和実vs昌平 | 高校野球ドットコム
豆田泰志(浦和実)

【熱戦の模様をギャラリーでチェック!】

 プロ注目左腕・米山魁乙(3年)擁する昌平豆田泰志(2年)、三田隼輔(3年)の二枚看板を擁する浦和実業、共に投手力に自信を持っている両者の対戦は、試合巧者の浦和実業に軍配が上がった。

 試合は前評判通りの投手戦となる。
 まず初回、昌平・米山は二者連続三振と上々の立ち上がりであったのに対し、浦和実業・豆田は立ち上がりからやや制球に苦しんでいたこともあり、序盤は昌平ペースであった。

 だが、昌平が拙い攻めで豆田を助けてしまう。

 昌平は初回、豆田の立ち上がりを攻め、先頭の千田泰智(2年)が四球を選び出塁するが、続く今井海渡(2年)の犠打が失敗に終わる。さらに一死から一走・千田は盗塁を試みるが失敗に終わると後続も倒れ、結局三者凡退でこの回の攻撃を終える。

 昌平は2回裏もこの回先頭の渡邉翔大(2年)が四球で出塁すると、今度は続く吉野哲平(2年)の所でエンドランを試みる。だが、これがセカンドライナーとなり併殺に終わる(ボール球に食らいついての結果であり、ややアンラッキーではあった)と、後続も倒れまたしても三者凡退でこの回の攻撃を終える。

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米山魁乙(昌平)

 3回裏も一死二塁のピンチ招いたが、これも凌いだ豆田は尻上がりに調子を上げて行く。それに対し、昌平・米山は突如乱れる。

 浦和実業は3回表、この回先頭の吉田浩隆(2年)が四球を選ぶと、続く秋山英日(3年)がきっちりと送り一死二塁とする。さらに2番・松村裕大(2年)も四球を選び一死一、二塁とすると、続く長谷川俊大(3年)もライト前ヒットを放ち一死満塁とチャンスを広げる。

 ここで4番・竹内琉生(3年)が押し出しの四球を選びまず1点、さらに二死後6番・後藤大成(3年)もライト前タイムリーを放ち2点を先制し試合の主導権を握る。

 昌平・米山は、4回以降直球を中心に組み立て直し、7回まで浦和実業打線を三者凡退で抑え立ち直りの気配を見せる。

 それに対し、序盤制球こそ悪かったが、ボール自体は来ていた浦和実業・豆田も、制球力を取り戻すと、持ち味である回転数の多い直球を武器に、5回以降突如昌平・米山のお株を奪う奪三振ショーが始まる。5回二死で8番・米山から三振を奪うと、そこから5者連続三振を奪う。そして気が付けばノーヒットピッチである。

 試合は2対0のまま8回へと進む。


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勝利し、抱きあう浦和実の選手たち

 迎えた8回表、浦和実業はこの回先頭の松村がセカンドへの内野安打で出塁すると、続く長谷川がレフト越えのタイムリー二塁打を放ち貴重な追加点を挙げる。

 一方、豆田のノーヒットピッチは、その裏、この回先頭の吉野哲に意地のセンター前ヒットを浴びたことで、潰える。それでも、豆田はその後も気落ちすることなく、続く大澤に犠打を許さず、後続も連続三振に抑える。まだまだボールは生きており、奪三振数も10を数え米山に並ぶ。

 だが、このままでは終われない昌平は、最終回猛反撃を見せる。
 この回先頭の代打渡辺大が見事にセーフティバントを決めると、続く千田も粘って四球をもぎ取り無死一、二塁とチャンスを広げる。

 一方、これまで基本豆田、三田の継投で勝ち上がってきた浦和実だが、この日豆田の出来が良かっただけにベンチに迷いが生じる。本来はここで三田へスイッチするべきだが、最終的には本人の意向を聞き豆田の続投を決断する。

 だが、一死後3番・角田蓮(2年)にセンター前タイムリーを浴び3対1となった所で、三田へスイッチする。三田は二死後ワイルドピッチを放り、二死二、三塁と一打同点のピンチを招くが、何とか後続を打ち取る。浦和実業が3対1で勝利し、意外にも春は初めて関東大会出場を決めた。

 まずは昌平だが、この日米山の出来は決して良くはなかった。それでも8回で10奪三振とその能力の片鱗は見せた。米山の課題は突如四球で崩れる部分であろう。威力のあるボールは持っているだけに、夏に向けエースとして安定感が求められる。

 むしろこの日表面化した課題は攻撃面であろう。バントミスやエンドランのミスなどなかなか走者を進められないケースが目立った。それが豆田を9回途中まで投げさせてしまった要因の一つである。

 元々、千田、渡邉翔、吉野哲という2年生トリオなどを中心とし、スタメンの1,2年生が6人と若くポテンシャルの高い選手は揃っている。それだけに、関東大会を前にしてこの敗戦は痛恨だが、この敗戦を糧にして夏を目指してもらいたい。課題は明白だ。

 一方の浦和実業だが、少ないチャンスを確実に物にするその試合巧者ぶりは健在だ。一巡目から米山の変化球を捉えると、終盤には直球を確実に捉えるなど各個人で、試合中に相手の配球の変化にも対応できる。

 さらにこの日の豆田が昌平打線を持ち味である制球力ではなく、ボールの威力で抑え込み11三振を奪うなど新たな面を見せた。だが、あくまで彼の持ち味は制球力だ。準決勝やこの先の関東大会を見据え修正しておきたい所であろう。

(記事:南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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