必由館vs高森
甲斐拓馬(必由館)
しかし、そこで躊躇することのない甲斐は、この冬、自分のセールスポイントを活かそうと走塁、バント、そして慣れない外野守備を徹底的に鍛え上げた。
そして春を迎えた。
そこには背番号9をつけ、9番ライトとして公式戦初スタメンで登場した甲斐の姿があった。
甲斐拓馬(必由館)
「力を抜け、力を抜け」と自らを念じながら入った第一打席。
シャープに振り抜かれた打球はセンターの頭を越えていった。
いきなりのタイムリースリーベースだ。
「力が抜けてバットがスムーズにでた」というように第二打席でも二塁打を放った。
第三打席もレフトにいい当たりをしたが「あれは力みました」と素直に反省した。
最後に個人としての抱負を聞いたのに「流れがよければ、相手を突き離せる」とチームのことを語った。
しかし、そう語ったのはそれだけチームのことを思っているからだろう。
もう一度、最後に個人としての抱負を聞いてみた。
「ベースランニングなどの自分の特徴を最大限に生かすことです」
必由館の9番ライト、甲斐拓馬。
苦しんでつかんだ分だけ、得たものも大きい。
(文=PNアストロ)