岐阜第一vs静岡
岐阜第一が終盤に追いつき、9回サヨナラで静岡下し4強
9回にサヨナラを呼ぶ貴重な二塁打を放っ岐阜第一・丹羽君
<春季東海地区高校野球大会:岐阜第一3-2静岡(9回サヨナラ)>◇21日◇1回戦◇小牧市民
岐阜県1位の岐阜第一と、静岡県2位の静岡との対戦。岐阜第一はこれまで、2位校や3位校として東海大会の出場が多かったが、今春は県大会を制して37年ぶりの1位校としての出場である。なかなか果たし切れなかった県1位という位置での東海大会進出は、大いに意味があるとも言えよう。そんなチームのいいムードが、試合にも表れた。
静岡は、今年も戦力は高いレベルでまとまっていると言われている。エースの吉田優飛投手(3年)は、昨年からプロ野球関係者などからも熱い視線を浴びている。ただ、投手としての状態としては必ずしも万全ではないということで、池田新之介監督としても、投手としての起用に関しては、夏にベストで行きたいということも見据えていろいろ考慮しているようだ。この大会も背番号9で4番右翼手としての出場となった。
静岡の先発は、県大会を通じて最も成長したという背番号1を貰っている法月彰弘投手(3年)で、187センチ、78キロのスラリとしたタイプ。岐阜第一は昨秋は、ほぼ1人で投げ切っていた弘川泰暉投手(3年)が調子を落として投げられず、今春はメンバーから外れている。と言うことで、180センチ、87キロで骨太の印象でがっちりしたタイプの古川晴翔投手(3年)が1番を背負って先発した。そんな、ややタイプの異なる2人の投げ合いという展開で始まった。
先制点は3回の岐阜第一。1死後、1番浅野恵介外野手(3年)以下、難波壱成外野手(3年)、福井一颯内野手(3年)の3連打で1点をもぎ取った。積極的なスイングで、しっかりとミートしていくというものだった。さらに、1死一、三塁だったが、そこは走塁死もあって攻めきれなかった。
反撃する静岡は5回、1死から2番山岸廉尊内野手(3年)が中前打で出ると髙林陽捕手(3年)も四球で一、二塁。ここで4番吉田が打撃で非凡なところを見せて、右翼フェンスを直撃する二塁打で2人を帰して逆転した。なおも、1死二塁だったが、そこは古川が踏ん張った。静岡の池田監督は、「あそこで、もう1点取っていたら、さらに畳みかけられる場面だったはず。そこを、生かし切れなかったところが結果的に敗因になった」と試合後に振り返っていた。
1点を追いかける岐阜第一は、8回に2死走者なしから4番小澤侑二郎内野手(3年)が右前打で出ると、続く高橋翼捕手(3年)が右翼線に落とす二塁打で一塁走者がかえりついに同点とした。さらに、代打今井智弥捕手(2年)も左前打して、二塁から高橋が本塁を狙い逆転かと思われたが、クロスプレーでアウトとなった。
同点のまま9回を迎え、岐阜第一は3人目の後守叡投手(3年)が1死一、二塁を何とかこらえた。そして、その裏先頭の7番丹羽淳大外野手(2年)が右翼線二塁打。ここで勝負を賭けた田所孝二監督は、代打秋山侑士内野手(3年)を送り出すが、バスターでバントの構えから一振した打球は右翼手頭上を越えるサヨナラ長打となった。田所監督は、「あの場面で丹羽が二塁まで行ってくれたことが大きかった。あれが、一塁止まりやったら次はバントになりますから、また攻め方が変わってきてしまうんだけれど、無死二塁だったので、いろいろ仕掛けやすかった」と、語っていたが、積極的に打って行くという姿勢がもたらしたサヨナラ打だったと言ってもいいであろう。
田所監督は、「5対4くらいの試合になるんかなぁと思っていましたけれども、案外、守り合いになりました。よく辛抱したと思いますよ」と、守り勝てたことも評価していた。
(記事:手束 仁)