静岡商vs聖隷クリストファー
静岡商が中盤で逆転、流れを引き寄せて逃げ切り、6年ぶりの東海大会進出
高田 琢登(静岡商)
エースで3番を任されている高田君がいる静岡商。名門復活への期待を担いながらの夏は、結局ベスト8までだった。新チームは高田君を中心としていきながらも、俊足巧打と堅守をモットーとしての手堅い野球を心がけている。対する聖隷クリストファーは、名将上村敏正監督を迎えて、チームは徐々に整備されてきている。
先に点を取ったのは聖隷だった。初回、聖隷は一死から2番上島君が内野安打で出ると、暴投と失策で一三塁として、保坂君の左犠飛で先制する。さらに2回にも、先頭の6番西尾君が左越二塁打で出ると、バントで進め、投手で8番に入っている城西君が上手に右に運んで右前打で帰す。立ち上がりから、高田君はやや抑え気味に入っていったのだが、そこをしぶとい聖隷打線に付け込まれていた。
しかし、高田君も3回に先頭の上島君に三塁打を打たれながらも後続の3人をぴしゃりと抑えて立ち直った。そして、高田君が本来の投球を示し始めると静岡商は打線も奮起していく。4回は1番からの好打順で鈴木瞳吾君が左前打で出るとバントで進め、高田君も遊撃内野安打で一三塁。對馬君の内野ゴロの間に三塁走者が帰って1点を返す。
さらに5回、静岡商は6番河村君が左前打で出るとバント内野ゴロで三塁まで進む。ここで、聖隷に失策が出て同点。なおも1番鈴木君がポテン安打でつなぐと、再び聖隷内野陣に失策あり逆転となった。聖隷としては、この回ちょっと守りでバタバタしてしまい、それが逆転を許すこととなってしまった。
こうなってくると、試合の流れは静岡商に傾いていく。
静岡商は6回、無死走者なしから河村君が左前打すると、続く塚本理久君が左中間に運んで二塁打として一塁走者を帰す。その裏、一死からの連打で一二塁から内野ゴロで二三塁とされたが、そこを高田君が何とか切り抜けると7回さらに追加点を挙げた。
聖隷の上村監督は、この回から城西君に代えて柴田君をマウンドに送り出したが、その代わり端、9番阿野君がいきなり中越三塁打。さらに鈴木瞳吾君も左中間へ落して二塁打としてさらに1点。なおも一死一三塁から對馬君の中犠飛でもう1点を追加。
聖隷は8回、9回と投手を谷口君~大石君繋いで静岡商の攻撃を何とかかわしていって反撃につなげたいところだった。しかし、結局は9回に2安打して二死一三塁から暴投で1点返したものの、試合中にしっかり修正出来た高田君を攻略しきれなかった。
静岡商は6年ぶりの東海地区大会出場となった。高田晋松監督は、「苦しい立ち上がりでした。始めは完全に相手の流れだったのですけれども、何とか乗り切れました。(高田)琢登も、そんなに出来はよくはなかったんですけれども、今日はみんなで助けてくれたというところでしょう。打順がひと回りしたところで、怖がらずにもっと強く振っていこうということを言ったのですけれども、2巡目からはよく振っていってくれました。下位打線もよく頑張りました」と、全員野球で戦って勝ちを得られたことを喜んでいた。
(文=手束 仁)