試合レポート

東京実vs都立府中西

2017.09.19

東京実、強力な2本柱で完封!

東京実vs都立府中西 | 高校野球ドットコム
鈴木睦也(東京実)

 台風18号が過ぎ去り、台風一過となった18日は快晴となり、気温も30度を超える真夏日。この夏、初戦敗退となった東京実都立府中西と対戦した。

 試合序盤、都立府中西の先発左腕・大河原諒平の前に苦しむ。東京実の山下監督は大河原の投球に苦しむことは想定済みだった。
「丁寧なピッチングができる投手ですから、そんなに点は取れる投手ではないと思っていました。なので、打席の立ち方を工夫するなど、狙い球を絞るなどのアドバイスを送ったのですが…」
思うように打ち崩すことができず、3回まで走者を出すもあと1本が出ない展開が続いた。4回も、簡単に二死。5番長坂京佑(2年)が甘く入った変化球を逃さず、ライトスタンドへ飛び込む本塁打で1点を先制する。さらに5回裏、相手の敵失で1点を追加する。

 投げては大田泰(2年)が好投。177センチ83キロと恵まれた体格から投げ込む直球は常時120キロ後半~132キロを計測。ここぞという場面で、角度ある130キロ台のストレートが決まる。さらに110キロ台のスライダーの切れ味も鋭く、ストレート、スライダーのコンビネーションがはまり、ゲームメイク。先発投手の役割を果たした。

 大田は1年生の時、7月と8月に肘の手術をしている。長い期間、投げられない時期が続いたが、この夏、背番号20でベンチ入り。競争を勝ち抜き、背番号1を勝ち取った投手である。「今日は自分のピッチングができた」と振り返る大田。山下監督も「前回はフォームが乱れ気味でしたが、今日は投球を見ていても、下半身が使えてましたね」と投球内容を評価した。


 東京実の打者の中で光るパフォーマンスを見せていたのは4番友野 海輝だ。171センチ81キロとがっしり体型の右打ちのスラッガー。筋トレでしっかりと体を作り、パワーをつけてきた。「自分はそれしか取り柄がないので」というが、優れたパワーを持った打者である。4回裏の第2打席、実に滞空時間が長いフライだった。その後の打席では2本の二塁打。友野はこの日、体が突っ込まず、軸回転で打つことを意識して、打席に立った。「今日はそれができたと思います」と笑顔を見せる友野。プレー面でも一生懸命で、山下監督は「練習量は多いですし、毎試合、泥んこになりながらプレーする選手です」とひたむきなプレースタイルを評価している。

2対0で迎えた8回表、2番手としてマウンドに登ったのは、鈴木睦也(2年)である。ストレートの球速は、120キロ後半~130キロ前半(最速133キロ)を計測。回転数が高く、球速表示以上に勢いを感じさせるストレート。非常に良いのは、フォームが良いことだ。

 右足をしっかりとバランスよく上げていきながら、右足の膝をくの字のように伸ばして、しっかりと踏み込む。内回りのテークバックからリリースに入る。打者よりでリリースすることができており、非常に質のあるストレートを投げることができる。鈴木がいいのは自信に満ち溢れてマウンドに登っていることだ。だからこそ、投げっぷりが実にいい。

 鈴木は、1年秋から公式戦で投げている投手だが、体の線が細く、体重は68キロだった。しかし鈴木が慕う高見コーチに「とにかく体を大きくしろ」と言われ、1日6合のごはんを食べ、178センチ80キロまでサイズアップ。それが成長につながった。山下監督は「とにかく一生懸命練習をやりますし、かなり走っている選手ですね」と姿勢の良さを評価。鈴木の高い意識を支えているのは絶対に甲子園に行きたいという思いである。
「あと2回しかないですから、勝ちたい」と意気込む。
大田と鈴木と切磋琢磨しあいながら伸びてきた2本柱。打線も力強く、ぐっとつながりを見せると、この秋の大会では、躍進も期待できるチームだろう。

(文=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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